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悪夢の先の幸せ

2007–09–21 (Fri) 23:27
久々に澪尽しで書きます。
今回は沙都子を助けに行く前の空白を使っております。
色々矛盾がありますが楽しんでいただければ幸いです^^:



夢を見た。酷い夢。
悪夢の結末。ただ一人、私の大切な人だけが死んでしまう夢を・・・


夕方。今日、この日に雛見沢全ての命運がかかった日。
夢はまさにその日であった。しかし、その夢は予知夢かもしれない。それほど鮮明で・・・残酷だった。
夢はこんな感じだった。
古手神社に行った、彼と彼女。彼らはこの雛見沢で欠かすことのできない大切な仲間であり、雛見沢を支えた柱だった。
そして、そこで対峙するのは軍服を着た女性。黒幕であり雛見沢の最大の敵。
その後ろにいるのは小学生の少女。彼ら二人の目的はそれだった。
たった一人のために彼ら、いや私たち全員は二人を送り出す決断をした。
そして、黒幕たちは彼らを襲う。いや、少女を助けようとして彼が偽の手榴弾を投げて怯ませようとしたが失敗し彼だけが力で捕まってしまった。
その後が、悪夢の始まりだった。
腕を撃たれる彼。痛みの声は彼の悲痛。放たれた銃弾は女性の笑い声。
腕から血が垂れる。彼女はそれにうっとりした。まるで美しい絵画を見るかのように。
対照的に彼は痛みを耐えた。痛いとかそんな問題じゃないだろう。でも耐えた。
しかし、その痛みを耐える彼は次の瞬間に悟った。
死と言う悲しくて孤独な結末を。
そして、賽は投げられた。
それから全てが遅くなった。まるでスローモーションのように。
ゆっくりと銃弾が近づく。彼は足掻いた。捕まっていても逃げられると信じて足掻いた。
死ぬ、その時まで・・・・




だけど、運命は変わらなかった。
放たれた銃弾は彼の体を貫通した。
流れた血。力尽き倒れた彼。そしてその光景をあざ笑う彼女。
夢なら・・・・・もう・・・・・
私は見た。見てしまった。
彼の死。消えていく目の光。温かい肌が冷たくなっていく温度。そして、血塗られた彼の体。
たった一発の銃弾が胸を刺し、血は倒れた体に広がっていった。
体はもう動かなかった。胸から血が流れ体を真紅に染めていくだけだった。
その場にいた二人は声も上げられずその光景に涙した。
そして、意識だけがそこにあった私も涙した。
普通なら「*す」と考えるが彼の死の悲しみの方が強かった。
大切なものを前に何も出来ずに壊されていく光景を私を見ることしか出来なかった。
意識だけであった自分が嫌だった。何も出来ない自分に怒りを覚えた。
でも、そんなことよりも悲しいことがあった。
それは・・・・・


あなたに気持ちを伝えられなかった。


悲しみの光景に涙をしながら私は現実世界に戻った。





時間は夕方。今外では沙都子の救出で慌しい中、私こと園崎魅音は自分の部屋で目を覚ました。
いつもなら眠気がまだあったりする。でもそんなものは皆無だった。
あったのはやるせない気持ちだけだった。
「・・・・・・・圭ちゃん」
見てしまった圭ちゃんの死に、体中の血液が凍りついたままだった。
一気に体が寒くなって力も出なかった。
私の頭にはあの光景しかなかった。
悪夢、最悪の結末の一つ。いや、あの結末こそが私の最悪の結末だろう。
何も出来ずに圭ちゃんは死んでいった。それを私は見ていただけ。
もしかして・・・・・
パン、と部屋中に響き渡った。
馬鹿。どうしてそんなことを考えるの。そんなことにあるはずないじゃない。
「そうだよ・・・・なるはず・・・・ないよ」
なるはずない。みんな無事に何もなく綺麗さっぱりと終わる。
私たちは戦って勝つ。死者なんてゼロ。誰もいない。そうハッピーエンドで終わる。
「大丈夫・・・・大丈夫・・・・・」
なのに・・・・

なんで泣いてしまうの。

成功だって確信して嬉しいから?
違う。
これから戦うのが怖いから?
違う。
じゃあ

圭ちゃんが死ぬって思ってるから?

「ひっく・・・・なんでっ・・・・・」
なんでそう考えてしまうの。幸せをつかめるって確信していたのに、今になって不幸せの方を掴むって確信しちゃうなんて。
「最低だ・・・・私」
何も言えないでただ見送って知らない間に死んでしまっている。
そんな結末を考える私は最低だ。最低の人間だ。
「ぅ・・・・圭ちゃん・・・・けい・・・・ちゃん」
好きな彼。でも少ししたら失ってしまう。
詩音の好きな悟史とはまったく違う。
悟史は監督に預けられ治療をしていた。だから、死んではいない。
でも私は違う。圭ちゃんは鷹野三四に撃たれてしまう。
この差は大きく違っていた。
詩音は生きているから信じられる。治って北条悟史に戻って帰って来れるって信じられる。
だけど私は信じることは出来ない。
死者は復活しない。撃たれてしまう圭ちゃんを助けるのはまず無理。とめる事も出来ないし隠れて助けることもできない。
だから・・・全ては圭ちゃんと梨花ちゃん次第。それしかない。
「無力だ・・・・私」
怪我をした手を見た。
刀で切ったときの傷。圭ちゃんが治療してくれた。
まだ圭ちゃんのことを感じられる。でも少ししたらこれも消えてしまう。
圭ちゃんはいなくなってしまう。それも私が見れない場所で。
「嫌だよ・・・ぅ・・・んくっ・・・・」
涙が手にこぼれた。
温かい温度も今となっては感じられなくなっていた。
ただ・・・彼の死しか感じられなかった。
「嫌・・・・圭ちゃん・・・・・けいちゃぁぁぁん」
何でこんなに弱いんだろう。いつからこんなに弱くなっちゃたんだろう。
好きなのに・・・・好きなのに・・・・・なんで・・・・・なんで・・・・
弱い。弱すぎる。こんな時になっても言う気持ちのなれなかった。
もしかしたら、最後のチャンスかもしれないのに・・・・でも・・・・
「ぅっ・・・・っく・・・・」
涙するしかなかった。だって・・・・弱いから
その時、バンと障子が音を立て
「魅音?」
心配した圭ちゃんがそこにいた。
「けい・・・ちゃん」
「どうしたんだよ魅音。何かあったのか?」
ああ、会いたかったし会いたくもなかった。
心配そうに顔を覗き込む圭ちゃんに複雑な思いがあった。
でも・・・・
「みお、うわっ?!」
抱きしめたかった。忘れたくなかった。
圭ちゃんのぬくもりと・・・・圭ちゃんの心。
「ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・・」
死ぬなんて想像してしまってごめんなさい。
「・・・・・・魅音」
圭ちゃんも無言で抱きしめ返してくれた。
それがとっても嬉しくて・・・・でも悲しかった。







魅音の部屋を通った時に聞こえたのは泣いている声だった。
心配になった俺は部屋に入った。そこには魅音がいた。
泣いていた魅音を心配していると魅音は抱きついてきた。
それには驚いた。どう対処するかわからなかった。でも、この一言でどうすればいいかわかった。
ごめんなさい
魅音は苦しんでいた。何もとてつもなく大きくて辛いものに。
「――――――――そうか。そんな夢を見ちまったのか」
虚ろな瞳で真っ青な顔。力のない声に乱れた顔。
酷い苦しみだったと感じられた。それは今まで見たことがなかった、魅音の顔だから。
「ごめんなさい・・・・・圭ちゃん」
「・・・・謝るなよ」
「うん・・・・ごめん」
空気が重い。こっちの調子もおかしくなっていった。
わからなくもない。死ぬ夢を見てしまったことに泣かないやつはいないだろう。現に俺がそうだったから。
失ってしまった人間性。失ってしまった仲間。失ってしまった日々。
夢の中、いやどこか別の世界で全て体験したことが俺の記憶に刻まれていた。
レナと魅音を殺したことに嘆いた。
魅音に人形を渡さないで全てが狂ってしまったことを後悔した。
沙都子をおじから開放するためにおじを*したことは苦しかった。
レナと詩音を入れた三人おじを殺してしまって沙都子と詩音が死んでしまって魅音を殺したことに涙した。
そして、勝てそうだった運命に屈してしまった自分に怒りを覚えた。
たくさんの数え切れない記憶。これが全て俺の成長だったのだろう。
だから俺には分かる。魅音の苦しみが痛いほどわかっていた。
「ごめんなさい」
「謝るなよ。俺は大丈夫だからさ」
自分の心配をしろ、と続けたかったが今の魅音に言っても効果がないとわかってやめた。
「最低だよね・・・・私」
涙しながら魅音は言った。それには魅音の感情がいたいほど感じられた。
「・・・・そんなわけないだろ」
「ううん。最低だよ」
苦しかった。何もしてやれない自分が。悲しみから、苦しみから救ってやれない自分がとても無力で嫌だった。
支えてやりたいけど・・・今の俺では無理だった。
「悟史がいなくなってからわかったんだ。仲間を失い事の苦しさとか悲しさを。
だからこんなこと考えない。そう考えた、そう誓った。なのに・・・・・・ぅっく」
「・・・・・・魅音」
なんで気づいてやれなかったんだ。
こんなに苦しい思いをしてたのに俺はただこいつと仲間として楽しく過ごした。
でも、知っていた。魅音の辛い過去を。なのに俺は今になってその過去のために魅音に何をしてやった?何もしてない。
「ごめんね。こんな最低な人間が婚約者だなんてね」
馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!
魅音はりっぱな女の子なのに。それを否定するのかよ。
「・・・・・ありがとう。話を聞いてくれて」
そう言うと魅音は立ち上がった。そのあとどうするかわかっていた。
「魅音!」
だから手を取って引き止めた。
今のこいつを外に行かせるわけにいかない。行ったらこいつはこの状態で戦場に行ってしまう。それだけは絶対にダメだ。
「けい・・・ちゃん?」
「俺も・・・最低だぞ」
俺まで想像してしまった。
今このまま魅音が戦場に出向いたら確実に・・・・
「俺も考えちまったよ。ごめん」
「・・・・・・・・・・・」
だから・・・・気づいた。
「ふぇ?」
俺は魅音を抱き寄せた。か弱くて繊細で俺と言う支えがいる女の子を俺は優しく守るように抱きしめた。
「・・・・魅音」
人は失ってから気づけるものがたくさんある。
家族がいい例だ。今まで色々なことを言われてきて嫌だった人が死んで見るとその人からたくさんのものを受け取っていたと気づかされる。
俺はそれとは違うが、魅音を失ってしまった想像で気づいた。
もしあいつがいなくなった俺は立ち直れないだろう。ずっと心に傷を負って生きるだろう。
それは東京にいたときよりも辛いことだろう。
それが嫌だから引き止めた。・・・・・違う。
理由はもっとシンプルだった。



俺は魅音が好きだったんだ



好きだったから茜さんのあの話に異常な共感を持てた。
好きだったから魅音といることが好きだったんだ。
好きだったから魅音のことを優先的に考えてたんだ。
だから俺は泣いてる魅音が心配になってここに来たんだ。
そして、死なせないように、守りたいから引き止めたんだ。

「好きだ!俺、魅音が好きだ!」

魅音の力が抜けたのを感じた。
「けい・・・・ちゃん・・・」
目には涙を溜めていた。しかし、その涙は悲しみではなかった。
「私も・・・好き・・・好きだったのけいちゃぁぁぁぁん!!」
喜びの涙だった。
さっきまでとは違い美しい輝きを放っていた。
「魅音。好きだぞ。魅音」
「私もっ・・・圭ちゃん・・・んくっ」
魅音の顔を見ると目は光を放ち顔は喜びの表情を向けていた。
それを見て俺は嬉しくなった。魅音の喜びの表情を見る。
幸せものだな・・・こいつの笑顔だけで全て吹き飛んだ。
「でも・・・いいの?私なんかで・・・婚約とかで圭ちゃん嫌がってたし、レナや沙都子、梨花ちゃんもいるんだよ?」
この期に及んで。でも自身がないところが魅音らしい。
「いいんだよ。魅音じゃなくちゃダメなんだよ。お前は俺がいないとダメなんだろ?」
「そ・・・・それは・・・・」
赤面しながら魅音は俯き口をパクパクさせた。
その行動をするだけでももう答えを言っていることに気づかない魅音。こう言う隠し事は下手らしいな。
「魅音が俺を必要とするように俺も魅音が必要なんだ。レナでもなく沙都子でもなく、ましてや梨花ちゃんでもない。魅音が必要なんだ」
自分の思いを伝えると魅音はさらに激しく涙を流した。
「ありがとう・・・ありがとう・・・・でも、本当に―――」
「何度だって言ってやる。魅音が必要なんだ。魅音だけが・・・」
「うん・・・・うん・・・・ありがとう・・・ありがとう」
俺の胸に顔を埋めながら魅音は礼を言った。
俺はそれに頭を撫でてやって答えた。
「圭ちゃん・・・・私も圭ちゃんが必要なの。だから・・・だから・・・」
「ああ。大丈夫だ。運命なんて変えてやるよ。そして俺たちは勝つんだ」
「そうだね・・・・・・ありがとう圭ちゃん」
バカヤロウ。お互い様だろ。
互いに互いのことを思いながら俺たちは顔を見合った。
「魅音。もう俺たちは一人じゃない。俺がいつもついてる。それでお前を守ってやる」
「私もだよ圭ちゃん。離れていても私がいるよ。一人になっても危険が迫っても私がいることを忘れないで」
俺はああ、と言って頷いた。
「圭ちゃん・・・好きだから・・・ずっと好きだから忘れないでね」
「魅音こそ忘れるなよ。俺はいつもお前の中にいる。だから離れてても安心してくれ」
魅音はうん、と明るく頷いてくれた。
「魅音・・・」
「圭ちゃん・・・」
最後に心が繋がる儀式。
俺は魅音の顔を見た。魅音は悟ったように目を閉じた。
そして俺は、自分の唇を魅音に近づけた。

時間が迫っていた。
不安でいっぱいだった心。でも、もう大丈夫。
俺はひとりじゃない。最愛の女の子がいつも俺を見てくれているから。
愛してるぜ、魅音






いい感じで終わりです。澪尽くしの空いていた空白の時間を使ってみました。
リク以外ではかなり前に書いた以来でかなり新鮮でした。
本編と食い違ったりしますがこんな結末もありなのが二次創作☆無限の世界です^^
アニメの祭囃しが終わるまでは告白はこの話をメインに勝負です。
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コメント

お久しぶりです♪

んーー。久しぶりに来れて良いもん見た♪
澪尽くし編まだやったことがないから先取りーな気分で。
やっぱりこの二人はいいなぁーーー☆


感想

読ませて頂きました。
澪尽し編の空白の時間、良い感じですね。あの二人ならまさに、この様な感じだと思います。
あの二人は幸せを掴める筈、、、ですから。

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中二病の同人大好きな変態。アニメよりゲーム派。
07th作品はうみねこよりもひぐらし。
いまだに圭魅が大好き主張は変わらず。
創作活動は別館で進行中。

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