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12月31日 第三話 1月1日

2008–01–01 (Tue) 01:59
新年最初のssです。
相変わらずのほのぼのですね。しかもシンプルな。
新しい年になっても私の趣向は何も変わりませんね^^:



自然に瞼が開いて眠りの世界から現実の世界に強引に戻された。
ピピッ、ピピッ、ピピッ。
そんな音が聞こえる。これは…目覚し時計だ。
「あれ…?こんな時間に設定した覚えないのにな~」
かったるくなるけど仕方なく体を起こし目覚めに入った。
時刻は4時。まだ月が出ていて日はまだ眠ったままだ。
このまま二度寝しようと思ったけどどうにもそうする気にはなれなかった。
電気を点けてみてもまだ十分暗いのがわかる。目が慣れていないから点けてすぐは眩しいものだ。
でも時間が経つことでだんだん慣れてきたので着替えようと思った。
浴衣から何に着替えようか迷った。でもたまにはいいかと思って奥からそれを引っ張り出す。
それは青い花柄の入った振袖。
数日前、お母さんの特注品。
お母さん曰く『圭一君に晴れ姿を見てもらいな』とか。
どうみても楽しんでいる気がするが、せっかくあるのだから、と思いながらそれを改めて見た。
意外に綺麗で私には勿体無い。
そんな感想だが圭ちゃんが見たらきっと可愛いと言ってくれるだろう。
だって、魅音ならなんでも似合う、って言ってくれたもん。
「えへへへ~♪圭ちゃんったら♪」
その言葉を言う圭ちゃんの顔が目に浮かんだ。
それで自然と嬉しくなって顔がニヤニヤしているのがわかる。でも、人がいないからこそだ。
和服を着るのは慣れている。何故慣れているかは言わなくてもわかる。
「……………馬鹿」
自分にそう言って私は思考を停止させた。




外は相変わらずのように雪が積もっていて寒い。
マフラーをつけて私は園崎家を出る。
途中で酒で酔っ払ってそのまま寝ていた老人会の人たちのいびきが、深夜と言うことをさらにわかりやすく理解させた。
さらに白い息がその温度を物語っていた。
ここまで寒いとなると自分でもこの地に住んでいたことを忘れてしまう。
何度も体験した季節なのに未だにそれを真に理解できていない。人間とは面白いものだ。
「…………寒い」
やはり振袖では寒い。コートを着ようと思ったけどやめた。
不思議な気分であった。
まるでこの衣装を誰かに見せるような気がしてならなかった。まあ見せるのだが時間は全然早い。
空を見上げる。
未だに満月が空一面を支配していた。太陽はまだ全然先だ。
不意に手を空にかざした。
手に届きそうな月がとても遠い。当然である。
「…………」
手を下ろし月をまた見た。
月明かりがとても綺麗だった。前の道も月明かりが綺麗で幻想的だった。
言うなら、それは自然の美しさ。
その例えが富竹さんみたいだったのが少し笑えた。
「…さて行こうか」
そう言って私は歩き出した。
行き先は……決めていないのだが。



雛見沢を適当に歩き回るのも悪くないと思った。
夜の雛見沢を歩くなんて怪しいし危ない。でもその光景はいつも見慣れたものとは別世界だった。
道は暗くてわからないし雪で歩きにくい。でも月明かりをたどりながら私は道を歩いた。
一面が雪の田んぼ。でもそれがとても神秘的だった。
月明かりに照らされてキラキラ輝く光景に心が奪われそうだった。
もちろん田んぼだけじゃない。道行く先にある家に積もった雪も同じであった。
それは自分が田舎の雛見沢に住んでいる、と強く思わせた。
こんな光景、都会の東京、いや興宮でさえ見ることが出来ない。
テレビなどで観光スポットや絶景の場所などの紹介があって綺麗だとつくづく思うが、ここもテレビで見る場所みたいに綺麗だ。いや、それ以上だ。
やはりブラウン管越しよりも自分の目で見た方が破壊力があると思った。
それに、自分の中で一つしかない思い出にもなる。
「圭ちゃんと見てみたかったな」
そう口走りながら私は歩きつづける。
今更だが振袖だから歩きにくい。しかも地面には雪があるから更に歩きにくい。
でも、そんなのお構いなしだった。
かなり機嫌がいい。
こんな光景の中で歩けるなんて、まるでマンガのワンシーンみたい。
そう思っているからだろう。自分でも思うがこういうところは女の子らしいと思えたりする。
いつもはあまりそう思わないけど今日はそう思った。




気づいたら私は古手神社の前にいた。
まるで誰かに導かれたように。オヤシロ様に……まさか、ね。
ここにいても仕方ない、と思い階段を上っていった。
何回上ったかわからない階段は雪が積もっていなかった。
少し不思議だったが、古手の二人が綺麗にしたのだろうと思いそれ以上考えなかった。
この階段、あまり長くない。圭ちゃんに言わせれば辛いらしいけど。まあモヤシだし(笑)
そんな階段をあっという間に上りきって、そのまま賽銭箱の前に行った。
まだ初詣は早いと思うけどこの際だしと思い持参した小さなかばんの中から財布を出した。
そして、お金を出す。
5円がありますように、で5円玉でいいか。
私は5円玉を右手で賽銭箱に投げた。
いい音を立てながら賽銭箱に消えてった5円玉が少し名残惜しかった。
「…………さて、これでいいかな」
財布をかばんに戻し手を合わせた。
パンパン。
二回手を叩いて頭を下げる。鐘はここにはないのでそれで終わりだ。
「…こんな時間によく来るよね」
そう、話し掛けた。
「でも、ありがとう。静かに見守っててくれて」
後ろにいた誰かに私は背中越しにお礼を言った。
彼か彼女かわからない人たちは何も言わない。
「結局、ここの初詣の一番は私だった。はい、残念」
後ろの人は『そうだな』と言った。
「だけど、なんだか虚しいよね。独り、なんて」
『そうですね』ともう一人が言う。
「昔から、一人は慣れてるよ。でも…やっぱり嫌い。だって悲しいんだもん」
『…………………』
「でも、今は一人じゃない。そう、言いたいんでしょう?」
『まあ……そう言うことかな』
「ははは、みんなは言うね。私はまったくダメだよ。口だけのダメ女。でもさ、それでもいいの?」
『問題はない』
そう言って後ろの人はコートを私の肩に掛けた。
その人のぬくもりが私にはとても心地よかった。……痛いくらいに。
「本当に……いいの?今でもまだ間に合うかもよ?」
『まったく……お前はな』
溜息をしながら彼は私の顔を後ろに、彼の方向に向けさせられた。
そして、優しく包み込むように抱き締められ、キスをされた。
「んんっ……ちゅ」
体を預けながらゆっくりと彼の顔を見た。
真っ赤になった彼の顔が少し可愛かった。
「それが……答え?」
『ああ…なんども言わせるな。しかも新年早々に』
「ははは…ごめん」
『まったく…そう言えば振袖、似合ってるじゃないか。予想以上にあってて驚いたぞ』
「/////////~~~~~そう言うことは早く言ってよ。恥ずかしいじゃない、バカッ」
いつもの不意打ち。でもその言葉が今の私にとって最高に嬉しくて幸せになれる魔法だった。




月明かりが眩しい。それに彼女も…十分過ぎるほど眩しかった。
「さて、俺もやろうか」
財布から小銭を出そうと財布を開く。
ただでさえ外の空気に触れて冷たい手が冷たい小銭によって手をより一層冷たくする。
そして、魅音と同じ5円玉にした。
チャラン
賽銭箱の木の音が貯金箱と少し違うところがまた良かった。
入ったことを音で確認して、冷たい手で申し訳無いが魅音の手を握り締めた。
「//////~~~~け、けいちゃ~~~ん!!!!!」
「なんだよ。手を握ったくらいで大袈裟な」
「そうですよ。まったくお姉も奥手ですね。しかも恥ずかしがり屋」
一緒にいた詩音がここで口を開いた。
ここで魅音へのツッコミという部分がまた詩音らしいと感じながら魅音の手に力をこめる。
「ほら。ボサっとしてないで行くぞ。みんなを待たせてるんだ」
「え…?どういう…意味?」
「お前…なんのこと知らないのか?」
魅音は呆気を取られた表情で頷く。
じゃあ…ここに来れたのは偶然…?
「詩音!!!!お前、魅音に言ってなかったのかよ???!!!!!」
「目覚し時計をセットしただけじゃわかりませんでしたか?」
「それでわかったら伝令役のお前はいるか~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!」
やっぱり、こいつに任せるんじゃなかった……。
詩音の人物像を知っておきながら任せた自分がとても情けなかった。
「一応訊く。もし魅音が来なかったらどうしたんだ?」
「そんなの決まってるじゃないですか。圭ちゃんを王子様として『もういい!!!!!!!!』」
これ以上言われると俺自身がおかしくなりそうだったので大声でそれを止めた。
詩音は『圭ちゃんもお姉そっくりですね』と楽しく微笑みながら先に行ってしまった。
結局のところ、詩音はからかいのために来ただけらしい。まったく意地の悪いやつだ。
「ほら。魅音も行く…ぞ…?」
手を引っ張ったが動かなかったので魅音を見た。
すると、乙女モードに入っている魅音が目に入った。
周りに花が見えるのは錯覚なのに、それが気分をいい方向に誘う。こうなったら俺は絶対に魅音逆らえない。
「け、けい…ちゃん?」
甘えるような声で魅音は俺を見た。上目遣いと弱々しい瞳で見る萌えコンボで。
か……かわい…すぎ、る……。
「あ、あの……王子…様…?」
「…はい」
自然に丁寧な返事をしてしまう俺。頭のネジが外れている気がした。
まあ、簡単に言うと理性がおかしな方向に崩れていた。
「…お、お姫…さま…なのか、な…私…?」
「………お姫様です」
「じ、じゃあ………、抱っこ…して…くれ、ない……かな?」
魅音の理性もおかしくなっている。でもそれ以上に俺も理性がおかしくなっている。
きっとピザの斜塔並に脳みそが傾いているな。
「お、お姫様……だ、っこ?」
「し、詩音が言ったから…少し……興味…がで、て………だ、ダメ?」
もう……無理。
ここで俺の精神は崩壊した。もう阪神淡路大震災で家が倒れたように、無残に。
魅音!!!!!!お前のためなら何でもやってやる!!!!!!!!!
大声で叫びながら俺は魅音をお姫様抱っこしてその場を後にした。
きっと、この声は興宮まで聞こえたと思う。後日、現に大石さんからそう聞いた。
『深夜に前原さんの声が興宮中に響きましたよ~』って。
もっと理性を保つように頑張らなくては、と思った瞬間だった。





太鼓の音が聞こえた。それはまるで綿流しのお祭りの奉納演舞みたいなリズム。
「あ~あ。始まっちまったか」
残念そうに言うけど私には何がなんだかわからなかった。
(お姫様)抱っこされながら圭ちゃんの肩を叩いた。
「ねぇ、どういうこと?」
「そっか…詩音から何も聞いてないんだよな」
「???やっぱり何かあるの?」
「まあ…説明するより見たほうが全然楽だから」
少しだけ速く歩く圭ちゃんの肩を掴まりながら音のする場所に向かった。
そこは、集会場の中だった。
靴を脱がせてもらって私たちは歩いて中に入った。
「あ。遅いですわよ。みんな待ってましたのよ!」
「悪い悪い。急いだんだがいろいろとあって」
「そうですよ沙都子。お姉と圭ちゃんは『恋人』同士なんですから。イチャイチャしてたんですよ?」
待て、方向がおかしい!!!どう聞いたって今の発言は問題あり!!!!!
「はぅ~~~…イチャイチャ~~~」
「レナ???!!!!お前、今考えていることは絶対に間違ってるぞ!!!!!」
「そそそそそうだよ。私たちにはまだ」
「まだってことは次期にやるんですよね~♪」
し、しまった!!!!!
しかしもう遅かった。このような失言は絶対に詩音は見逃さない。
こうなったら私たちではとめようがないだろう。
「ちちちちちちちち、違う!!!!!!!そ、そんな意味じゃなくて!!!!!」
「まあいいです。あとでじっくりと3人で話しましょう。大人の話を、ね☆」
不敵に笑いながら詩音は梨花ちゃんのほうを見た。
梨花ちゃんはというと、巫女さん姿で舞を舞っていた。しかも羽入も同じように巫女さん姿で舞を舞っていた。
でもこの舞は今までみたことがないものだった。そして、それが道具なしで華麗であって舞う二人はとても美しかった。
それに驚いて私は何を言えばいいかわからなかった。
でも、それはみんなも同じなのだろう。
『……………』
静かに二人の舞を見守った。
この小さい場所で無駄がなく動くことができるのは至難の業。でも二人は息をするかのように悠々と舞っていた。
不意に肩に手を掛けられた。
「………」
心が自然と落ち着いた。
何も言わず何も見ないかったけど、手を掛けられただけで効果は十分だった。
「………」
私は体を預けるように胸に倒れ込んだ。
ゆっくりと手を添えて私を支えてくれた圭ちゃんがとても愛しい。
ただでさえ好きだけど、こうしているともっと好きになる。
近づくにつれて想いが強くなる。それが、嬉しかった。
「……バカップル」
詩音がボソッと呟いた。でもそれは茶化す意味合いじゃない。
本当は、私たちにことを想ってくれている証拠だった。
「…お姉ちゃん。ありがとう」
小さな声で呟いた。でも詩音には聞こえたようで溜息をついた。
だけど…いいよね。今日なんだから。
微笑みながら彼女たちは舞う。その姿はまるで神様みたいだ。
そう…まるで、幸せの神様みたいだった。

ありがとう…みんな。

心の中で強く思った。
口に出さなくても、もうみんなに届いてますように。
私にできる、新年最初の贈り物。


ーEND-
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中二病の同人大好きな変態。アニメよりゲーム派。
07th作品はうみねこよりもひぐらし。
いまだに圭魅が大好き主張は変わらず。
創作活動は別館で進行中。

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