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情尽し編 其の壱 拒絶

2008–01–13 (Sun) 22:02
今回は『アニメ・祭囃し編』の後日を時間軸にしたものです。
原作を知らないのでアニメで。羽入ももちろん出てきます。
メインキャラは圭レ魅の3人。この3人を中心に盛り上がっていきます。
もちろん、梨羽と詩音も。さ、沙都子は……こう言った話に向いてませんが混ぜていきます^^:
長さ的にPC推奨です。ケータイだと途中で切れてるでしょう(少なくとも私はそうですorz)





瞼を静かに閉じた。
聞こえるのは蝉の声と悲痛な叫びだけ。
心を静めた。
見えるのは深淵の闇と後悔の叫びだけ。
全てを消し去った。
残ったのは自分の無力さと女として生まれた彼女の叫びだけ。

Frederica Bernkastel




今は何も後悔することはない。だって別に後悔したって始まらない。そんなこと私が一番知っている。
何が悪いか知っている。だけど私はずっと泣いたままだ。枯れることのない涙は後悔の念だけ。
それが「園崎魅音」の心だった。




昭和58年、7月。
今日も晴天だった。約数週間前までは梅雨で雨ばかりの天気も今は懐かしく思える。
小鳥のさえずり、川のせせらぎ、そしてひぐらしの意思を継いだ蝉たちの声。
自然を身近で感じるのと同時に本当の夏が始まったことを感じさせた。
そのせいでただでさえ気温も上がってお手上げだ。唯一、扇風機があったことが不幸中の幸いと言えるだろう。
「今日も暑いな」
蝉の声がうるさい。まるで「早く起きろ」というようにも聞こえなくもない。
冷房が欲しいな、と思いながら階段を降りていくとお袋が驚いた様子で俺を見ていた。でも、驚くのはいいがまるで未確認生物を見たかのような目をしないでもらいたい。
「あら。圭一が早起きなんて、夜に雪でも降るんじゃないかしら?」
「母さん。笑えない冗談はやめてくれ。暑くて二度寝する気になれなかっただけだよ」
まさか俺が真面目に言い返すとは、これは重症だな。
自分で自分を分析してそんな結果を出した自分が少しだけ面白かった。
「そう。だけど朝ご飯はまだ作ってないから顔でも洗ってらっしゃい」
「言われなくてもそうするよ」
手短に言い換えかして洗面所へと向かう。
蛇口を回して水を出す。手ですくい上げた冷たい水が心地よかった。
顔を洗って歯磨きをした。それほど時間があるということだ。
本当なら寝ているときにかいた汗を流すためにシャワーでも浴びるといい一日を過ごせるのだが、生憎そこまで時間があるほどの早起きじゃなかった。
朝に歯を磨くもそこまで多くない。本当に時間がないときはやらないし、いつも通りでもそこまでじっくりと磨く時間もない。でも今日は久々にじっくりと磨いてみた。
ざっと5分前後磨いてうがいをした。
何から何までじっくりとこなすことができるのも悪くない。
そう思ったが、それと睡眠時間比べるなら圧倒的に俺は睡眠時間を取る。
顔も歯を綺麗になったところで一旦自分の部屋に戻った。
部屋には誰もいない。当然だ。お袋が来たりするがほとんどは朝起こしに来るくらいか掃除、あと飯が出来上がったと言いに来るだけであとはあまり来ない。
「何を警戒してるんだか…」
別に怪しい本とか見られてはいけないものあるわけじゃないのに警戒して俺。このままだとバカバカしく思えるので着替えることにした。
着ていたシャツを脱ぎ捨ていつもの赤いTシャツを着る。その上に夏服である半そでのYシャツへと着替える。下は夏服のズボンに履き替え登校の準備は完了した。
「圭一。ご飯出来たわよ」
タイミングよくお袋が呼ぶ声が聞こえ俺は鞄を持って下へ降りていった。
珍しくスムーズかつゆっくりと時間が流れていった。



家を出たのはいつもと少しだけ早かっただけでメチャメチャ早いというわけではない。
ここでも珍しく歩いてレナとの待ち合わせの場所まで歩いていった。
もう覚えてしまった道と光景。でも不思議なことに光景に飽きるなどの嫌な思いはなかった。
普通ならいつもの登校の光景なんて数週間で飽きてしまうものだった。でもまだ俺はこの光景に飽きる以前に悪い印象なんて持ち合わせていない。
むしろ、通るごとに色々なことがあるからそんなわけないと思っている。
「おや、圭一君じゃないか。今日は早いね」
声をかけられ軽い挨拶を交わした。
「はい。暑くて目が覚めてしまったもので」
「そうだね。今日も暑いから体には気をつけるんだよ」
「わかりました。では」
短い挨拶を手短に済ましてレナとの待ち合わせの場所まで歩く。
レナはいつも俺を待っている。どれだけ早いかと訊いたこともあるがそこまで早いわけではないらしい。ただ俺が遅いだけみたいだ。
すると、待ち合わせの場所に人影が一つ。レナだ。
「あっ、圭一君。おはよう」
いつもの笑顔でレナは挨拶した。よくこんな暑いのにそんな笑顔でいられるか訊きたいものだ。「ああ…レナは元気だな」
「クスクス。圭一君、早起きしたのかな、かな?」
いきなり吹きかけられた質問に俺は呆気を取られた。
俺は正直に頷くとレナは「やっぱり☆」と笑った。
「な、なんでそんなことわかったんだよ」
「圭一君。珍しく整ってるなって」
………否定できない気がしなくもない。
いつも急いでくると社会の窓が開いてたり頭がとんでたりして笑われていた。そのことを思い出すと俺は頷くしかなかった。
「暑くて、起きちまったんだよ」
「やっぱり。そうだと思った」
まるで予想通りというような言葉でレナは歩き始めた。俺もすぐさまレナのあとを追う。
「レナは、暑くなかったのかよ?昨日は異常に暑かったのに」
「ううん。レナの家、前の家で使ってた冷房があるから」
まあ言われてみれば納得できる。
レナの家は雛見沢でも大きいと言われる分類だ。あの家を見れば嫌でも納得させられるだろう。それに竜宮家はお金については困っていない。多額の慰謝料でお金があるわけではない。レナのお父さんが社会復帰したことで生活に関しては苦しくなく少しだけ余裕があると言う。元々、レナのお父さんはここでデザイナーの仕事をしていたみたいなので仕事の同僚のおかげで簡単に仕事を見つけることが出来た。そんなわけで今は忙しい日々を過ごしているわけだ。
「レナの家はいいよな。俺なんか居間にしかないから寝るときは困るぜ」
「レナもそうだけど、お父さんがいないから今は居間で寝てるんだ。でも基本的に扇風機で用は過ごしてるかな」
「はぁ~。俺なら絶対に冷房のある部屋から出ないな。扇風機なんて一時的なものだぜ」
「そんなこともないよ。圭一君もこの暑さに慣れれば冷房なんて必要ないって」
レナの励ましは俺にとって理想でしかない。そんな簡単になれるほど人はうまく作られてないし、冷房が一番って考えは変わることがないだろう。
暑い夏が過ぎて寒い冬が来てもらいたいぜ。俯きながらそう思っていると。
「あ、魅ぃちゃんだ」
レナの言葉に顔をあげてみると見覚えのあるシルエット。
「あ、レナ。それに圭ちゃん。おはよう」
魅音はいつものように元気バリバリで挨拶をした。こいつも元気みたいだ。
レナといい魅音といい、無駄に疲れる。
「おう。相変わらず元気だな」
「そう言う圭ちゃんはだらしないないねぇ。もっとシャキッとしなよ、シャキッと」
「無理な相談だ。暑いものは暑い。それでも、っていうならその元気をわけろよ」
いつものノリで軽く流すと魅音はニヤリと笑った。どうやらまたおかしなことを思いついたみたいだ。相変わらずおかしなことしか言わねぇだろう、と少し呆れた。
「じゃあ、わけてあげようか?」
そう言うとまるで誘惑するような表情で俺へと近づいてきた。一瞬、ドキッと思いながら必死に今の自分にこう言い聞かせた。
お、落ち着け俺!!相手は魅音だぞ?あの男女だぞ?そんなやつにドキッとしてどうするんだ!!!クールになれ。collになるんだ圭一。
「圭ちゃん。おじさんの元気が欲しいんなら、おじさんを食べちゃえばいいんじゃないの?」
「ふぇっ…??」
魅音の癖が移るほど俺は驚きを隠せなかった。
だってあの魅音がだぞ、女みたいに俺を誘惑して来るんだぞ???想像できるわけないだろう!!!
「ほらほら。女の子一人、欲しくないの?」
「え…??あ、いや…そのだな…」
と慌てていた時だった。
すぱぱーん!!!
「何の話をしてるのかな、かな?」
レナの光速パンチを俺と魅音は顔面にクリティカルヒットした。
いや、魅音は二発で俺は一発。不幸中の幸いだった気がした。
でもあのまま行っていたらネタできっとだしにされていたと思うとレナには感謝するしかなかった。例えそれが殴られたやつでも。
「そこで……レナパンが、来るとは……不覚」
「自業自得だ……女みたいな行動するからだ」
それにしてもレナ、お前の命中率はどれだけいいんだよ。的確に人の頬を殴るなんて。
圭ちゃんならよかったんだけど……ガクッ」
「……魅音?」
空耳か?……それとも助けを呼ぶ声か?
どちらにせよ俺が魅音をおぶって学校に行かなくてはいけないのは明白だった。レナはもう俺の視界から消え先に行ってしまったのだから。




結局遅刻してしまった俺たち。
あの後、汗を流しながら魅音をおぶって急いで学校に来たのだがギリギリのところで遅刻してしまった。それで知恵先生に大目玉を食らう。はずだったが魅音が倒れたことを言い訳にして無事に説教は回避できた。
そんなことで俺は一度外の蛇口で顔を洗うことにした。
冷たい水がやはり心地いいと思いながら顔を洗い手を洗った。こんなに冷たいのに今はそれが天国に近い感触だった。天国は場所だから感触なんてないと思うがあくまで例だから気にしないでくれ。
そんなわけで名残惜しかったが教室に戻ろうとしたらちょうど知恵先生が教室から出てきた。
「前原君。少し頼みたいんですが」
「はい。なんでしょうか?」
丁寧に言い返すと隙もなしに先生は目で安心した。
「園崎さんの様子を見てきてくれませんか?そこまで大したことはないはずなんですがまだ戻ってこないんですよ」
「魅音…ですか。別に大丈夫だと思うんですがー」
「委員長に限って、授業をサボることも否定できません。ですから念のためです」
魅音よ、お前は委員長という役柄なのに先生に信頼されていないんだな。
少しだけ哀れむように思えたがすぐにその気持ちは吹き飛んだ。魅音の今までの行動を見てみたら十分ありえる気がしてしまったからである。
「わかりました。もしそうなら俺が引きずり戻します」
頼られるように言うと知恵先生は笑顔で俺の元を去っていった。
後々少しだけ得をしたと思う。先生に信頼される人ほど後で見返りがある。そんなことを思い出し小さなガッツポーズをとった。
まあなかったにせよ、魅音よりはあるだろう。それだけで十分ましだと思った。





胸元がぽっかり開いた気分だった。
圭ちゃんは決して悪いと思っていってるんじゃない。悪いのは全部私。じゃないとあんなこと圭ちゃんは言わない。
『女みたいな行動するからだ』
全部全部私が悪い。絶対女の子らしくしてれば圭ちゃんはあんなこと言わない。
冗談だって頭ではわかってる。だけど…だけど……。
「っ……くっ……ひっく」
胸が裂けで苦しくて、痛い。やり直せるならやり直したい。
今の『魅音』じゃなくて本当の、理想の『魅音』になりたい。
女の子らしくて、馬鹿なことは言わない。無理をしないで、頑張らないで、弱い部分を隠さないように出来たらどれだけ幸せでどれだけ楽だろうか?
そんなことわからない。出したら慰めてくれる。出したら辛い思いをせずに済む。
だけど……それは理想。現実はそうじゃない。
男っぽくてノリのいいやつ。そして、圭ちゃんからしてみれば「男友達」でしかない。決して女の子として見てくれない。
例え見てくれてもそれを認められないと思う。認めることは、今までの私を半分否定することと一緒。だから、圭ちゃんには「男友達」で十分だと思う。
痛くても我慢する。辛くても封じ込める。今までだってそうしてきた。
それなのに…そんなことしてきてまだ二ヶ月前後なのに…もう、ダメなの?
「ひっく…ぅぅぅっ…っ」
私は弱い。よくみんなに言われる。
本当は弱いのに無理してすぐにみんなに相談する。そんなことが当たり前のようになってしまっていた。
でも…この心は誰が何て言っても癒せない気がした。
今までは癒せた。だけど今回はなんで違うのか。そんなことわかっているじゃない。

はっきりと圭ちゃんに拒絶されたから

好きな人に拒絶されることに耐えてきた。でも、圭ちゃんは今回茶化すことじゃない。はっきりと言ってきた。
冗談で笑い流すこともせずに真顔だった。
その瞬間、私の中の何かが壊れた。いや、壊れたんじゃない。心が割れたんだ。
大粒の涙も以前として乾くことも知らずに流れている。それが心の割れた一部だと知りながらも止められばない。
止めないと……止めないと。誰かが来てしまうから…ダメだよ。
いつからこんなに弱くなってしまったんだろう?
いつからこんなに苦しい思いをしなくてはいけなくなってしまったんだろう?
ねぇ、圭ちゃん。好きって言って?
じゃないと…私…壊れちゃう。
誰もいない保健室で私は願うように心を静めた。その願い叶うか…答えはわからなかった。
蝉たちがうるさい。まるで何かを教えるように鳴き続けていた。でも私には何を言うか以前に教えようとしていることもわからなかった。





今日も一日が過ぎていく。
運命の袋小路を抜け出した私にとってこの一日一日は新鮮で心の底から楽しかった。
何が起こるか分からない一日がもう何日も過ぎても私は飽きることを知らなかった。
「梨花。ここの計算はあってますでしょうか?」
沙都子のノートを取り自分のと合わせた。私も同じ答えだ。
「僕も同じ答えになったのですよ。だからあっていると思います」
「そうでございますか。梨花がそう言うならあってますわ。羽入さんもそうみたいですし」
どうやら羽入だけじゃ不安みたいで私にも答えが同じか訊きたかったらしい。
沙都子は勉強することに嫌いだが課せられたことは真剣にやる。どこかの誰かさんとは大違い。
「魅音も沙都子を見習うべきね」
羽入にだけ聞こえる声で言うと羽入は俯いた。
「……羽入?」
羽入の変化に気づき小さな声で名前を呼ぶと静かにこう答えた。
「レナのことも、見習うべきです」
「…………………」
真剣な眼差しで羽入はレナを見た。とても寂しそうな表情で一人勉強していた。
圭一も魅音もまだ教室に帰ってこない。いつも3人で勉強していたから、1人になるのは珍しいことで悲しいんだろう
「…違います」
しかし羽入はそのことをまっすぐに否定した。
私の考えを察したみたいで羽入は小さく首を横に振った。
「…………レナは、辛いんです」
「……え?」
まるで大人になったように羽入は真剣に答えた。
きっとそれは昔から生きていたからこそ知りえること。
神だったからではない。単純に生きてきた年の差だった。
「羽入さん。ここを教えてくれませんか?」
「はいなのです。沙都子、ここですか?」
沙都子に声をかけられ羽入はいつもの調子になった。
羽入の言葉。私は長年の、100年の勘を持ってもわからなかった。
でも、すぐに気づくことになった。レナと魅音、二人のことを…。


其の弐へ




今回のssは普通の作品とは趣向を変えて書こうと思ってます。
どんなものかは、進めば誰でも気づくようになってます^^
明るいかどうかと訊かれた……暗いほうに入るでしょうねorz
圭一はかなり鈍感にしてあるんで言っておきます。あと、(私の中で)かなり長くなると思いますので長々と付き合って下さい。
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コメント

去年の年末に見つけていつもROMってました。俺も圭魅大好きです。
いつも更新楽しみにしてます。頑張ってくださいね。
で、話は変わるんですが、祭囃し……というか、原作は携帯でできますよ(Auでも、ドコモでも、ソフトバンクでも。ただAuだけは本という形で配信です。さらにほぼ原作準拠なので微妙なところでの変更点もありますが)。加えるなら、最近、原作のネット通販もはじめたみたいですよ。
あと、この話で『結局遅刻してしまった~』ではじめるブロック(?)の『魅音今までの行動~』だと思うんですが、『魅音の居間までの行動~』になってたので報告しておきます。それでは更新楽しみにしてます。

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中二病の同人大好きな変態。アニメよりゲーム派。
07th作品はうみねこよりもひぐらし。
いまだに圭魅が大好き主張は変わらず。
創作活動は別館で進行中。

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