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情尽し編 其の四 憎悪

2008–04–08 (Tue) 22:31
お待たせしました。前回と二ヶ月半経ってしまいました。忘れてしまった人はここから其の壱を。其の参の魅音サイドです。しかし重要なので^^:



瞼を開ける力もなかった。そのくせ、声を出す力はあった。
自室に寝ている私はそんなことが当たり前のように病人気取りだった。
「ひっく…っく…ぅぅぅ…っ」
涙は流れなかった。いや、流し終えてしまった。
すっかり朽ち果ててしまった心は何をしても治らない気がした。
一生このまま寝たきりになっているかもしれない。もしかしたら植物状態になってしまうかもしれない。
だけど、そんなことは頭の中に入ってなかった。ただただ、『ごめんなさい』と念じつづけるだけだった。
圭ちゃんを傷付けた。それだけで私はもう一杯一杯だった。
心に残った傷は治らないこともない。でも、治らないものも多い。
それが人。それが心。それが…園崎魅音。
外は薄暗く少しだけ出ている夕焼けが眩しい。綺麗な光景だ。
でも私はそう思えない。そんな感情はどこかに消え去ってしまった。
今あるのは後悔の念。それ以外の何者でも無い。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
ただただ、それだけしか言えない。
時間に解決してもらうのが一番。だけどそれは願いでしかない。
もう時間では解決できない。解決の手だって見つからない。
だから流れ行くこの時間の波に静かに乗るしかなかった。全ては圭ちゃんのために……。





話を聞いたのは数分前。
通りがかりの竜宮レナからそれを聞きすぐに私の足は動いた。
行き先は園崎家。自分の足で走るように歩き続ける。
「あの、バカッ!!!!」
あいつのことを聞いて呆れるを超えて愚かと思う。
すぐにそれはどうしようもない怒りに変わって拳に力が入る。
殴れるなら殴りたい。でもそんなことしても意味がないのは私自身が一番知ってる。
私の想像だと、今のあいつは自分を責めて責めて責め続けてる。
それで自分を追い詰めて立ち直れないくらいに傷つけてる。
まったく、なんでこうも出来の悪い妹が生まれるんだか。
嫌味を言う余裕もない。ただただ姉妹として心配だった。
妹として……姉として。
すっかり落ちぶれたあいつを元に戻すことができるのは私だけだと、わかっている。だからこそ余裕もなくこうやって急いでいた。
本当はあいつのところに行くのを躊躇ったけど、そんなことしてはいけないと頭が理解していた。
「まったく。問題ばかり起こして頭にくる」
久々に怒りというものを身近に感じた気がした。それも…殺気となり得るくらいのものに…。




日が沈みあたりが真っ暗の闇に包まれる。
虫たちの鳴き声は未だ聞こえる。同時に私の心もまったく晴れなかった。
まるで生気のないような目で辺りを見回す私はもはや廃人に近いだろう。
だけど意識はあった。そう…謝る意識だけは。
一体何回謝ったのだろう…。すでに1000は超えたことだけは予想がついていた。
すでに謝り続けて2時間近くが経とうとしていた。
廊下で足音が聞こえなければ、他人の声も聞こえない。
それは耳が機能していないからではない。言葉の通りなのだ。
みんな私のことを気にしているのがわかる。
お手伝いさんたちが帰ってしまい婆っちゃも部屋から出ない。電話も来なければ私を訪ねてくる人もいなかった。
そう、これはある意味『独り』。でも心地のいい『独り』だった。
私自身は独りになることがとても嫌いだった。たった独りだけ仲間外れで取り残された気分になってしまうからだ。それは昔も今もそれは何も変わっていない。
あの頃も…今も…何も何も。ただ変わったとすれば小さくなっていく心だけだろう。
そして、独りになれることが私をどんどん小さくさせてしまう。それなのに私はここに独りだけで。
いや私はいつも独りだ。仲間がいると思い込んで、家族が入ると思い込んでいるだけだ。時期に私はそんなものもいらなくなる。
それはもう決まってしまっていること。頭首の定めは生涯の孤独と嫌われ者。政治家とほとんど変わらない。
なのに私はまだその道に行くことを恐れていた。決して逃れられない道だと知りながらも歩もうとしない自分がまだここにはいた。往生際の悪いものだ。
「…………」
声にはなっていないが私はまだ謝り続けていた。
喉は枯れ鉄の味が口中に広がり動くこともままならない唇で、何度も何度も謝るに謝り続けていた。
そんなことをしても罪は消えないのに。先に待つのは罰だけなのに。
…いいや違う。罰なんて生まれた頃からすでに受けている。私自身に与えられてしまった蠢く狂気が。




園崎家に着いたのは時間にしてはそんなに遅くはなかった。
しかし私にしてみればそれは長すぎた時間の中ではとても遅かった。一時間、いや二時間、でもない。もっともっと長い時間。言うとすれば何年と表すべきだろう。
園崎家に着いた私はすぐに履物を乱暴に脱ぎ捨て廊下を全力疾走で走った。走ってきたのだから疲れらしい疲れも見えるはずなのだが不思議と疲れはなかった。だが痛みはあった。
どんどんどんと床を叩くような足音を立てながら私は魅音の部屋の戸を開いた。
「お姉ッ!!!!!」
家中に広がる声には誰も反応を示さなかった。お姉を指す人物も。
そして私は膝を落としその場に跪いた。
「ぁっ…ぁぁぁっ!!!!!」
言葉で表すなら信じられないと言うのが近い表現だ。だが実際はこんなことを言葉で説明なんて出来はしない。
それほどまでの絶望感と…空虚な姿に力の入れ方を忘れてしまった。
魅音本人からすればそれはどうでもいいことかもしれない。しかし他人から見ればそれは見てはいけないもの。開けてはいけないパンドラの箱を開いた気分だ。
「お…ね、え…ッ!!!!!」
そこにいたのは、壊れた人形。
目には光はなくただただ漆黒の闇だけが広がり、肌は真っ青になり死人にも見える色で部屋に闇に見事に紛れ込んでいた。そして、身体は唇だけが何度も何度も同じ言葉を繰り返していたことだけ。それ以外は動きなどなかった。
予想を覆す絶望。行き場のない悲しみ。そして、向けるべき怒り。
姉として私は妹を守ることが出来ず壊してしまった。
全てが全て壊れたガラス球のように砕けて消えていった。
そして残ったのは私だけだった。
「ごめん。遅くなって…本当に、ごめんね」
魅音に聞こえないのを承知の上で謝罪の言葉を悔しながら口にした。
そして、静かにスタンガンを出し…少し長めに眠ってもらおうと強めに設定して。
「詩音…ごめんね」
安息の眠りへと誘った。


魅音を荒技で寝かせ私はその傍で一人涙を流した。
「お姉…どうしてッ」
葬儀と思えてしまう空気。そしてその寝顔には疲れ以上の色で染まるに染まっていた。
私は、絶望しかなかった。
妹して、姉として、魅音を見守っていく。そして誰よりも護っていく。それがどれよりも大事でどれよりも言葉に出せない愛情だった。
家族愛、とは違う。姉妹愛、とも違う。もっともっと厚くて硬い愛情。今の世の中では言葉にできない大きすぎる想い。それが魅音への愛情だった。
なのに私は護ることが出来ず壊れた彼女を見るしかなかった。それが誰よりも辛く誰よりも憎かった。
魅音の笑顔も今となっては儚い夢の如く。
魅音の仕草も今となっては雪の散るが如く。
魅音の言葉も今となっては一陣の風が如く。
魅音の姿も今となっては…言葉に表せない。
割れてしまったガラス球は元には戻らない。たとえ直せたとしても同じものは作れない。変わらないものなど存在しない。どんなものもたった一つだ。そして壊れてしまったものはもう二度と戻ることはない。
それは心も同じだ。壊れてしまった心を治すことなど誰にもできない。壊れてしまったらそれまで。また新しい心が出来あがるまで心のずっとそのままだ。
だから…「あの」魅音はもう戻らない。もう二度と…会うこともない。
もし会えたとしても…それは違う魅音で「あの」とは異なる存在。だから悲しい。
「……………圭一。ッ!!!」
魅音をこうしてしまったのは彼だ。だからと言って彼を責めても何も意味がない。
しかし魅音をこうしてしまったのは原因は全て彼にある。魅音が自分を責めるのは彼の存在ゆえだからこそ彼自身の責任は大きい。
だから殺すなんて考えたりはしない。殺しても意味はないし殺すことはいけないとわかっていた。だけど、私は彼を憎むしかなかった。
魅音の中に圭一がいる。それだけで魅音は壊れてしまった。
それは私にも言えることだが私と魅音とでは状況も感情もまったく違う。
圭一を責めたいと言っても暴力などしない。ただ、言いたかったことを全て言うだけだ。彼のデリカシーのなさを私は彼にぶつけてやる。
それに……こうして方がいい。
「二人の…ためにも」



「はい。園崎です」
冷静なふりをし受話器を握ったがやはり心だけは隠し切れなかった。この時間に電話をよこす相手、今日あった出来事と彼の性格を考えると相手は圭一と断言できた。
「もしもし……えっと、魅音、か?」
恐る恐る言葉を選びながら緊張した面持ちで受話器を握っている圭一が目に浮かぶ。声もビクビクしていて口先の魔術師の名も情けなく感じた。
「いえ。詩音です」
少しキツイ声だったと言って思った。しかし圭一にはそんなことに気づくわけはない。
彼の中には魅音しかいない。それが数秒で感じ取れた。
「そうか……」
手際の悪さも理解済みだ。本当なら、こんな時に話すべきではなかっただろうに、圭一は無理をして話を続けた。
「じゃあ…魅音を、呼んでくれないか?」
「…………嫌です」
「なッ!!!???」
驚きの声をあげる圭一にもう一度嫌ですとはっきりと伝えた。
「な…ん、で……」
「お姉と代わるのは却下です」
それは電話する前から決めていたことだ。今魅音ことお姉と会わせるわけにはいかない。それ以前にお姉は電話などできる状態ではない。たとえ出来たとしても、謝ることしかしないだろう。
「詩音…それは―」
「言葉の通りです。圭ちゃんとお姉を話させるわけにはいきません」
「ふざけるなーーーー!!!!!!」
圭一の怒りの声が受話器越しから聞こえた。
まあ予想は出来てました。
「それでは、圭ちゃんはお姉に代わって何を言う気ですか?」
「そんなの決まってるだろう!!!謝る!!!!それだけだ」
「じゃあ絶対に代わるわけにはいきませんね」
鈍感であるがための罪。そしてこれが罰。
謝るだけなど言語道断。女の子の気持ちがわからない圭一には謝る手段しかないのだろう。
なんとも愚かで、なんとも哀れなのだろう。
「なんだよッ!!謝ることは悪いことかよ!!!!」
「ええ!!!悪いにもほどがあります!!!!」
優しさは時として刃物より怖い凶器になる。
全てを優しさで償うことなんて出来ない。しかし彼にそんなことを言っても無駄、か。
「圭ちゃん。これだけは言っておきます」
私は無理矢理気持ちを冷静にさせようといつもみたいに敬語を使った。頭に血を上らせては話し合いにならないし無駄だ。
「これ以上、魅音を傷つけたら…ただじゃおきませんよッ!!!!」
それだけを言い残し私は受話器を置いた。
「これで…よかったんだ」
それだけは確実に言えた。しかし後味の悪さは最悪だった。


其の五へ



ハードな恋愛になってきましたね。
しかしまだ1日目と最初です。本格的になるのはこれからです。さて、どうするか…。
圭一を鈍感にしすぎてます。いじめちゃってL5になってしまわないようにしないと(苦笑)
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コメント

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有希さん
>やっぱり怖かったですか。狙いどおりです^^
ここでは詩音の行動が大きな鍵ですのであえてあのような行動に。悪役みたいに見えますが、正義の方ですから。

トロイメライ魅ぃさん
>アニメは使ってませんので、鈍感にしていくのは難しいですよ。痛いと思うのは当然ですがまだ始まりですからッ!!!(大切

感想

読みました。
久々に読みましたが、何だか話が掴めずに亜然としています。
魅音さんが自己嫌悪に陥り易いのは仕方が無い事ですがこの事例はあんまりな気がしますね。
圭一さんも此処迄鈍感では無い筈ですね、多分。

影法師さん
>話の展開は暗い方向に持っていくこと、はっきりしないことは予定通りに進めていますので、すいません。
圭一の心理は次の話で少しは理解できます。魅音もまた…。

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Author:キラ
中二病の同人大好きな変態。アニメよりゲーム派。
07th作品はうみねこよりもひぐらし。
いまだに圭魅が大好き主張は変わらず。
創作活動は別館で進行中。

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