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LOVE~DARKNESS~ 1

2008–02–10 (Sun) 23:18
バレンタイン。でもテイストはビターです。
今回は4部作の予定。バレンタイン→魅ぃの日→ホワイトデー→卒業と続きます。
日常の中の切ない物語。最後に待ち受けるのはどんな世界なのか…。
泣ける作品…4部作のテーマです。



チョコレートを作るのは初めてだ。
元々雛見沢には男の子が少ない。悟史がいるがその時は自分で作らず売られているチョコレートですましていた。今こんなことを詩音に話したら命がないな。
しかし、今年は作る相手がいた。
「♪圭ちゃん~♪」
歌うみたいに彼の名前を口ずさむと、喜ぶ彼の顔が目に浮かんだ。
元々、私はおかしを作ることに長けていない。料理はできるのだがおかしは滅多に作らない。それは昔からおかしを作らないことが大いに影響している。
おかしなんて興宮のスーパーで買ってくるものと思っているのもあった。今もそれは自分の中で常識みたいに残っていた。
だったら、なぜ今私がおかしを作っているかって?
「どんな顔して食べてくれるんだろう♪」
それは簡単。2月14日が近いからだ。
「バレンタインがこんなに楽しみなんてね☆」
過去の経験からは想像の出来ないことに心が躍っていた。
胸に膨らむ期待と喜び。初めて全ての心を捧げて送る愛の形。
それは不思議でとても温かい気持ちだった。
「圭ちゃん。チョコレート、気に入ってくれるかな…」
でも、そんな不安もやっぱりあった。私らしいと言えば私らしい。
だけどどんなものでも圭ちゃんは喜んで受け取ってくれると思う。
私の知る彼は、そう言う優しい人なのだから。
「さて、明日だし、もう一歩頑張ろうか」
温かい想いと甘い味をあなたに届けたい。
それこそがバレンタインへのあなたへの届け物。




2月14日
天気は晴れ。しかし外は雪ばかりで真っ白。
空気もひんやりしていて寒いとしか思えなかった。
この光景が美しいと感じてたりもするがやはり第一声は寒いだ。
「今日も寒いな」
などと思っていた矢先にその言葉があっさりと出た。
苦笑いしてしまう自分に呆れながらいつも通りの通学路を歩く。
木々に積もった雪がとても綺麗に思える。道も真っ白でキラキラして綺麗だった。
「はぁー、俺一人で見てもつまらないよな」
ため息を漏らしながら彼女のことを考えた。
長い髪を揺らしながら微笑む彼女の姿。それはとても美しいだろう。
それに雪という調味料を追加すれば、きっと素晴らしい絵になるだろう。
微笑みながら俺だけを見てくれる姿は絶対に美しい。それが絵になって当然だと思った。
「魅音…」
願うならどんな時でも一緒に過ごしていた。
24時間、365日。そして死ぬまで離れずにすごせたらどれだけ幸せだろうか。
想像でしか叶えられない夢だってわかってる。でも、考えるだけでも心が温まる。
そうすると自然に顔が緩むんだよな~。
だから一人でいる時だけにしか考えないのだが…現実はそうはいかないんだよな~。
「これじゃあ変人じゃないか」
苦笑いしながら通学路を歩く。レナとは今日待ち合わせていないから少しだけ寂しい通学路だった。
日直となる仕方ないな。と思いながら魅音との待ち合わせの場所である水車小屋まで歩みを続けた。
そのたびに心が躍っているのがわかる。
相当魅音と会うのが楽しみなんだな。まあ当然と言えば当然、か。
そんな自分についつい笑ってしまう。意外に寂しがり屋だなと思ってしまって自分が可愛かった。
とりあえず、今日は二人きりの登校だから存分にイチャイチャしよう。
そんなことも考える自分にも笑ってしまう。本当に魅音のことになるとおかしくなるな、と思いながら足が動く。
あったらすぐに抱き締める。それだけは心にとめて深呼吸をした。
すると水車小屋が少しずつ見えてきた。そこにいる、彼女の姿も。
「あ、圭ちゃ~~ん」
水車小屋から手を振る姿が目に入った。
クソッ、今日も可愛いやつだぜ。
手を振る姿がとても可愛くて抱きたい衝動がグングンと胸に込み上げてくる。
その結果俺の何かが切れたのだろうか。足がとても軽くなって気づいたら俺は魅音の前にいた。
「おはよう」
微笑みながら挨拶を交わすと、恥ずかしそうに顔を逸らして「おはよう」と呟いた。
さっきとは対照的に落ち着いた声。でも本人はまったくといっていいほど落ち着いていない。
元気な挨拶から一転してとても恥ずかしそうに顔を赤に染める彼女。今度は支える柱が壊れたらしく俺の歯止めはもう止まらなかった。
「ひゃぁう!!!」
魅音を思い切って抱き締め逃がさないようにギュッと力を込めた。
少し痛いかもしれないけど、こうでもしないと満足できない。
「会いたかった。すっごく会いたかった」
「けけけ圭ちゃん!!!!大袈裟~~~!!!」
確かに大袈裟かもしれない。でも俺の心が「会いたかった」といっていたのだから大袈裟とは感じなかった。
むしろこれでもまだ足りないくらいだ。
「魅音…」
ちゅっ。
「ふぇ~~~???!!!」
とても情けない声がその場中に響いた。そんなことに笑いを堪えながら優しく耳もとで囁いた。好きだ、と。
ボン!!!!!
軽く爆発をして口をパクパクと魚のように開けたり閉まったり。
動揺を超えて爆発をしてしまったその様に笑いが堪えられずに「くっくっく」と笑ってしまった。
それに気づいた魅音はすぐさま怒りを露にさせた。
「圭ちゃん!!!また私を使って遊んだでしょう!!!!」
「悪い悪い。そんな気はなかったんだが、ついつい面白くて」
「でもやったのは事実じゃん!!!!」
「だけど、そうしたかったもの事実だぜ」
言い返しに言い返しの末に魅音は負けを認めるかのように先に歩き始めた。どうやら折れたらしく顔を真っ赤にしながら早歩きして俺を置いていこうとした。
「おい!待てよ!!怒ることはないだろう」
「うるさいな!!!圭ちゃんが悪いんだからね」
どうやらご機嫌斜めみたいだ。
本心はただ抱き締めてやりたかっただけなのに少しやりすぎたかと、反省した。やりすぎは良くないなとも、心に刻み魅音の後を追った。
「悪かったって。だから怒らないでくれよ」
「ダメッ!!!!今までの仕返しだよ」
どうやら今日1日は辛い日になりそうだ。こんな罰ゲームならメイドのほうが全然優しいな。
今更後悔しても遅いと知りながらも後悔するしかない俺であった。



時間とは不平等だ。
楽しい時にはあっという間に流れるがつまらない時は長く感じてしまう。それは感情的なものだろう。
私はというと長い。一秒を十秒だと感じてしまうほど長かった。
「…………なぁ、魅音」
「…………………」
「いい加減に機嫌直してくれよ。本当に反省してるんだからさ」
隣にいる圭ちゃんは本気で謝り続けている。
私は何も言わず教科書にくぎ付けだった。いや、くぎ付けているように見せた。
圭ちゃんを苛めているわけではない。これはただの仕返しだった。
今まで散々私を遊び相手にしてきた圭ちゃんへの小さな抵抗。それが無視だった。
本当は圭ちゃんの心を知っている。
愛してくれている。どんな時でも私だけを想って私だけを見てくれる。
だからこそだ。これは私にとって一種のゲーム。
圭ちゃんは本当に私だけを見てくれるのか?途中で諦めてしまって私を見捨てるのではないのか?
そんな素朴な疑問の解決であり、ちょっとした仕返し。
でも今は相当後悔している。
「………………」
「魅音。頼むよ。何か言ってくれよ」
意外にこれは辛くて胸が痛む。でもここまできてやめるものバカバカしい。
…………バレンタインに何やってるんだろう。はぁ~~。
長い溜息を心の中で繰り返してバカな行動に呆れた。はっきり言うと圭ちゃんを見てるだけで辛い。
部活の時は攻めるけど…こういった状況じゃ似合わないよな…。
そんなことで私は……寝る事にした。
深いことは考えずに手短に頭を整理して、思考を停止させる。もう私は自分の世界へと旅立ったことを知らずに。そんなことだけが最後の最後に考え出された。





気づいたら放課後になっていた。
今日は一日中魅音に謝り続けている記憶しかなった。部活メンバーに話したこともあるかないかすら覚えていなかった。
ちょっとした悪戯程度でここまで機嫌を損ねてしまうなんて。後悔は尽きない。
部活の時間になることを告げる声も聞こえない。今日はなしなのかと疑問を持ち始めたときだった。
「圭一君。はいッ!!!」
勢いよく渡された袋。少し戸惑ったがとりあえず素直に受け取った。
頭の中を整理する。今日は何があるのか?昨日何があったか?レナに貸しを作ったか?
「ん~~~~~…………」
「……圭一君。渡した意味がわかってない?」
察しられてしまった。やっぱりわかりやすい人間なんだ、と自覚しながら素直に頷く。無駄な意地を張ったら面倒なことになるのは目に見えてたことだし、やっぱりすぐには思いつかない。
「今日はバレンタインだよ」
「ああ成程。納得納得」
無駄に頭をぶんぶんと縦に振ってわかったことをアピールする。当然レナは溜息をはいた。それは皆も同じようだ。それは目を見ればわかった。まるで希少生物でも見るような目で。
「だからこれは義理!!」
「わかってるって。いや~同じ年の異性の子からチョコをもらうなんて夢にも思わなかったぜ」
「圭一君。それは言いすぎだよッ!!!」
でも事実だった。
1年前の俺ならこんなことは蚊帳の外。もらうことも期待してなければもらえないことも期待していなかった。簡単に言うならそれは無関心だ。俺にとって平日なら平日。週末なら週末。その変わりない日だった。
だからこそ、俺はこのことの驚き喜んだ。それは隠しようもないほど大きいもので、美しい形で。
「いや本当だって。とりあえず、ありがとなレナ。お前が圭一様にチョコを与えた女の子第一号だ」
微笑みながら感謝の意をこめて頭を撫でた。いつも通りわしゃわしゃと撫でるとレナはすぐに顔を真っ赤にした。
くっくっく、可愛いやつめ。そこは成長しないな。
レナのおかしの腕はみんなが知っている。俺だってその一人だ。だからこそ俺は安心して、そして喜んで食べれる。
レナへの感謝はそんな楽しみへの返答だったりもした。
パンッ!!!!!
盥よりは少し小さい音とともに背中に痛みが走った。これがなんなのかはすぐに理解できた。
「沙都子!!!!!いてぇーじゃねぇ…か、?」
すぐさま沙都子に食いつこうとしたが、そこでおかしな疑問が上がった。それは単純な疑問、一体何を使って俺を攻撃したか、だ。
いつもは威力があるものなのにどうにも軽かった。まるで、小さい箱を当てられたみたいな激痛とは言いがたい軽くもの。
「……ああ、成程」
納得して背中のものを手にとった。
綺麗なラッピングに小さくて可愛い箱。それはまさしく沙都子からのチョコレートだった。
「べ、別に…圭一さんにあげようと思って買ったんじゃありませんよ!!!ただ単にトラップの道具がそれしかなかっただけで……みんなで食べようと買ったものですのよ!!!!!」
バレバレの嘘に笑いそうになるがそれを飲み込んで静かに頷いた。こう隠し事が下手で素直じゃないところが沙都子らしい。それに渡し方もまさに沙都子そのものだった。
「ありがとうな。沙都子」
レナと同じように頭を撫でた。その間沙都子はブツブツと言い訳を繰り返していた。やっぱり素直じゃないなと思うしかなかった自分が単純だった。
「圭一」
凛とした声で梨花ちゃんは俺へと一つの箱を渡した。一部の隙もない渡し方に驚かされたが素直にその箱を受け取った。
梨花ちゃんのラッピングは沙都子とは別の可愛さがあったラッピングだった。大きさは沙都子と同じと言ったところか。
「本命チョコなのです。にぱー☆」
「……ははは、本命、ね」
「みー。これで圭一は僕の執事なのです」
何故執事かわからんがこの言い方は梨花ちゃんらしい。からかうような口調の裏にあった「ありがとう」の気持ちが照れくさくなると同時に「俺なんかに感謝されても」という気持ちがあった。でも梨花ちゃんの瞳が言った。「あなただからこそ」と。
「ありがとう。梨花ちゃん」
梨花ちゃんにも頭を撫でてあげた。満足そうに微笑む梨花ちゃんに心から癒される気分だった。これじゃあ俺が得してるみたいじゃないかと思えたりもした。
3人も自分たちらしい渡し方と言葉。やっぱりみんなはみんなと自覚させられる自分がそこにはいた。
でも…
「…………あれ?」
一人だけ……欠けていた。


懐かしい声がした。あの言葉今だって覚えてる。
「お前が好きなんだ。魅音」
小さく逞しくて……嬉しい言葉だった。それに頷くのは容易なことだった。でも出来なかった。
「……ダメだよ。私じゃ」
頷けたらどんなに楽だろうかと今も思う。だってこれは今も苦しんでいること。好きだってことはいけないことだと私はわかっていた。でも…拒否のしようがない。
「私は鬼。人間じゃない。圭ちゃんの見ている私はただの偽者。嘘だってことぐらい知ってるでしょう。鈍感でもそれぐらいわかるでしょう」
言葉を発することがこれほどまでも辛いとは知らなかった。自分が存在していることがこんなにも憎いと思わなかった。感情がこんなにまで邪魔のものだって………気づきたくなかった。
「いずれ私は自分じゃなくなる。人ではなく鬼の道へと走るしかなくなる。それはもう決められたことで逃げることもできない十字架なの。だから……私は今を生きたいの」
不安になる。声が聞こえる。恐ろしい姿が見えてくる。
助けてもらいたいけど助けてもらえない。全て一人のものだから。渇きを癒して欲しい。でも、砂漠は砂のように渇きもまた砂であった。
「…生まれた頃から…私は愛を捨てたの。家族も、自分も、そして恋愛も」
だから好きになれない。好きになってはいけない。
禁じられた恋とはこのことだ。私は恋をしてはいけなければされてもいけない。引き離すことが、決められた道。それが道。
赦されるなら……赦してください。願うなら…叶えて下さい。
だけど、誰もそれを実現できない。私もそう。実現なんてない。
いずれ来る、死神たちが私を捕らえるのだから…逃げられるはずはない。
「……背中…見てくれる。未来の私…そして、今の私の姿を」


二話



第1章のテーマは闇。
それは魅音の闇。圭一の闇を指しています。具体的には次の話。最後のも少し入りますが。
苦さの中の小さな甘さ。それが今回の話のイメージですね。
ちなみにR指定も入れます(おまけですが)。最後のTIPS形式的な感じ。

できることなら、たくさんの人に最後まで見てもらいたいです。この切ない物語の終着点を…。
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いったい・・・

圭一遊びすぎちゃいましたね。魅音に無視されることは入江診療所にメイド服を着て突貫する以上につらいに違いない(うん!まちがいないな)
で!魅音はいったいなにしてるんだYO!はやくしなきゃ!
続きが心配です(:o_o)

悲しみ

魅音さんが可愛そうですよ。圭一さんとの恋がバレンタインですら、叶わないなんて悲しすぎる運命だー。
続きは楽しみですが、読むのが少々怖い気がしてなりません。

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中二病の同人大好きな変態。アニメよりゲーム派。
07th作品はうみねこよりもひぐらし。
いまだに圭魅が大好き主張は変わらず。
創作活動は別館で進行中。

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