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LOVE~SORROW~

2008–03–09 (Sun) 23:43
魅ぃの日の予定ものです。
一本ながらも濃厚に書いたつもりです。1週間ぶりなので腕が鈍っていないことを祈ります。
ちなみに、今回も暗い・ダークテイストです。




受験とは、私にとって初めての出来事であって、短所を曝すようなものであった。
ここ数ヶ月、死ぬほどの勉強をしてきた私は今、合格発表に赴いていた。それは来てはいけないものであって来るべき大切な日であった。本当ならこんな日が来ないで欲しかったが現実はそんなものではない。肝に銘じていてもやはりそれは感情からして消えないものであった。
「…………ブツブツブツブツ」
自分でも何を言ってるかわからない。それほどまでも緊張していて物事がわからずにいた。
「……………ぃ」
そして、気づいた。気づいてしまった。
「…な…ぃ…?」
知ってしまった現実は悲惨で悔しいものであった。


「そろそろ、冬も終わりだね」
「そうだな。だいぶ温かくなってきたのがわかるぜ」
温かくなって来たのを身で感じてどこか寂しいものがあった。でもそれ以上にすごしやすいと思える。
「これぐらいが冬なら俺は大歓迎なんだがなぁ」
「ダメだよ。そうなったら雪も降らないし夏が暑いよ」
夏のことを言われてすぐさま相槌を打った。去年の夏の暑さが鮮明に身体を伝って流れてきてすぐにぞっとした。あれ以上の暑さはもうごめんだ。
「だったら、夏も冬もそこまで気温の差がなければいいのに……そうすればまだマシ」
「う~~ん。でもそれって夏とも言えないし冬とも言えないよね?」
「ぅぅ…痛いところを突いてくるな」
口先の魔術師が聞いて呆れる。こんなことに対応できないなんて。
「クスクス。勘は鋭いんだよ、だよ」
どこか楽しそうな笑みに俺は苦笑いした。と言うか、なんで楽しそうにしているかが俺には理解できなかった。まあ、レナだからこそわからないんだろう。
「わかってよ~」
そこまで読まれたか、と一瞬ドキッと心臓が飛び跳ねた。やはりレナには敵わないなと、自覚させられてもう一度苦笑いを零した。
「はぁーレナには勝てないわ」
レナはそんなことないと頬を膨らませて俺を睨む。失言だと気づいてすぐさま謝るとパッと明るくなった。その方向転換の早さには尊敬をするものであろう。
「そう言えば、今日が合格発表だったね」
「…………」
合格発表と言われて空気が重くなった。そのことはあまり聞きたくないと頭が訴えかけてくるのがわかった。
「……心配?」
「当たり前だ」
レナにはわかっていたはずだ。俺自身どれだけ不安でどれだけ苦しんだか。レナになら…理解できていたはずだ。
「そうだよね。圭一君にとっては当たり前のことだよね」
「…レナ」
「魅ぃちゃんは好きな人であって大切な親友であって……」
レナの顔が歪んだ。音もなしに悲しい笑顔に変わっていく。
俺は知ってしまった。みんながどれだけ俺を愛したか。どれだけ俺にアピールしてきたか。どれだけ…俺が身勝手だったか。だからこそ、決めたことは取り消す気はない。魅音が好き。もう俺にはそれしかない。それだけが…みんなへの償いでもあって愛情だから…。
「レナ…」
「少なくとも、魅ぃちゃんが羨ましかった。圭一君と一緒に笑っていられてものすごく妬いた。今だってそうだよ。…圭一君は魅ぃちゃんだけを見ている。………わがままだってことは痛いほどわかってる。でも、私も見て…欲しい」
「……………」
「でもね、それは無理な話だよね。圭一君は魅ぃちゃんを選んだ。魅ぃちゃんも圭一君を選んだ。それがどうやっても覆してはいけない方程式だって知ってるから。だから…絶対にダメなことなんだよ。だって…それをしてしまったらみんなへの裏切りだから。いくらなんでも…そこまで、できないよ」
「……ああ」
レナの声は哀しみ。とても痛い想いが胸を貫くようで苦しかったがそれを受け止めた。レナは自分のことを話しているようだがこれは俺たち全員への話だ。ここには俺しかいなかったがレナの言葉はここにいないみんなへも向けられていた。
「レナは…私は、みんなを愛したい。私を助けてくれたみんなを…平等に愛していきたい。純粋な愛情としてではなく、レナにしかもてない愛情として注いでいきたい」
「…………凄いな」
「全然凄くないよ。だって、『これしか』できないんだから…」
悔しい。涙がそう語りかけてくる。胸の痛みも一緒に悔しいと俺に伝えるようにズキズキと押し込まれるように深く入れられていく。
本当なら抱き締めてあげたい。この弱々しい少女を優しく抱き締めて安心させてあげたい。でもそれはできない。それは魅音への裏切りであってレナの決意を砕くようなこと。だから俺は、わしゃわしゃと普段どおりの励まし方をするしかなかった。
「ありがとう圭一君。心配してくれて」
無理に微笑むレナに自分の無力さと責任の重みが体を圧し掛かった。
「いいや。これだけしかできない自分が情けないよ」
俺も…悔しくて唇を噛んだ。



レナと別れて帰路を一人で歩く形になった。その瞬間、嫌な空気が全身を舐めまわす。背中に嫌な冷たい汗が流れるのを感じて喉が渇く。口の中も一緒に渇いて唇を噛んだ反動で血の味が口中に広まった。
気分は最悪だ。イライラもするしいいことも思いつかなかった。
「クソッ!!!!」
何かにあたりたかったが何もない。ただただ静かにこの怒りを静めるしかなかった。それは本当に苦痛で気分をさらに悪くさせる結果だった。
ここ最近、俺は変だ。いや魅音と別れてからの俺は俺としていられなくなっていた。その原因はやはり自分にあった。だからこそムシャクシャしてならなかった。
「クソッ!!!!クソッ!!!!!」
こんなにイライラするのは初めてだった。受験のストレスなどではなく純粋な自分への怒りがストレスに変貌した。だからこそ、どんな状況でもすぐされることはない。そして、消えることも知らない。
怒りの行く先がわからない。感情を殺せない。自分が許せない。
色々な想いがあってとても不安定な自分に気づくことができない。それほどまでに頭がグチャグチャなのだ。理性などもってのほか、俺はただの壊れた機械みたいな思考しかなかった。
雪が溶けゆく道をムシャクシャしながら一人で歩く。寂しいものであったし悲しいものでもあった。知っている孤独の寂しさ、別れた哀しみ。「これでいいんだ」。ただただそう言うしかなかった。それだけが自分を保つ暗示。
「…………魅音」
熱くなりすぎてしまった頭がついに動きをやめ冷たくなっていく。怒りで頭が回らなかったがここに来て頭が少しずつ活性化され思考が展開されていった。しかし、思考の中身は良いものではない。
魅音が好き。ただそれだけなのに出てくるのはどれの嫌な思い出。
強がりで笑う魅音。涙を流す魅音。悲しい顔をする魅音。俺に怒る魅音。どれもどれも嫌な表情でこっちまで悲しくなってくる。純粋な笑顔なんて、一つも出てこなかった。
どうしてこんなに悲しいんだろう。痛みを伴わなくてはいけないのだろう。付き合ってはいけないんだろう。愛してはいけないんだろう。
不安な思考は最大限の負を探し見つけ出し展開されていく。どれもこれも自分が悩むもので辛いものばかり。いっそのこと殺してくれと、思えるようなものばかりでもあった。
「………禁じられた愛、か」
それが…俺たちの関係であった。



気づいたら日は沈み夜が姿を現していた。発表の結果は補欠。はっきりせずとても嫌な結果であった。
悔しい。それだけが心の残りで涙を流していた。そして、それが終わり雛見沢に帰ってきた。気分は最悪。明日どんな顔すればいいかもわからない。いや、むしろ私に明日など存在するかわからない。受験の結果を考えるとこの先の未来などどうでもいい。明日はいらないと自然な考えが流れる。
「………死にたい」
そんな考えが不意に流れた。でも、ダメ。
「……バカァッ」
死ぬのはダメ。失うことを知った私は死ぬことをやめるべきだ。もう離したくない彼との絆。それは失ってはいけないものであった。
圭ちゃんに告白する。それだけは逃げてはいけないし、伝えたい。好き、愛してるからこそ捨てきれない心。「鬼」をやめ「人間」として生きることを教えてくれた彼と共に道を歩み生きていきたい。だからこそ受験に合格して勉強に力を入れるはずだった。でも……負けた。
悔しくて悔しくてしょうがない。誰のせいかと訊かれたら自分のせい。だから自分にも腹を立てえいた。
「…後悔先に立たず、か」
結局は私が悪い。勉強をする時間はいくらでもあった。でもやらなかったのは自分。二年も余裕があったというのに私はただ遊んで過ごしただけ。今思うとあの頃がとても大きいと思える。
有意義に過ごせばいい。そう思っていたけど、まさか大嫌いな勉強で不覚を取るなんて。なんて皮肉なことなんだか。これの全て自分のせい…。
「……………」
圭ちゃんとは反対の二年間。勉強に対して遊ぶことを優先していた私。これがここまで大きな差があるなんて知らなかった。それに、気づきもしなかった。
「…これからどうしよう…」
落ちるなんて考えていなかった。負けたこの勝負を今後どうしていくか決めていない。少なくとも予備校などに通うことが一番大きいだろう。それか分校で…。
「………まだ終わりじゃないか」
少なくともまだ二次募集がある。まだ…諦めるのは早い。たとえ低くても勉強を続けて高い位置をキープしておけばいい話だ。
活性化された頭。時間が解決してくれた。でもまだ完璧ではなかった。
足音だけが聞こえる。一面が白い地面を踏みしめながら向かう先は彼の家。



夜になっても俺の気は晴れなかった。むしろ時間が経つ事におかしな方向へと考えが行ってしまい頭が混乱状態になっていた。
今日は両親が出張のために家には一人。主一人の家は寂しく虚しいものだった。
だから、その影響かもしれない。それに夜。夜には悲観的な考えしか思い浮かばないと言うのは本当だろう。現にその人物である俺は悲観的になっている。
夕食はというとまだ食べていない。夕食の時間がまだあるのだがその時間にもなっても食べる気にはなれない。理由は…言わなくてもわかるだろう。
「……………」
部屋の電気もつけずに居間で一人。座り込んでいた。制服も着っぱなしで自分の部屋にはコートと鞄を放り投げそのまま数時間が経った。
電話もなければ訪問者もいない。音もなければ動く気配もない。このことを『無』と呼ぶのだろうと心底感じた。
このまま何時間もこのままで一夜を過ごす。それのありえるかもしれない。そう思っていた。
ピンポーン。
不意に鳴り響いたインターホンはどこか虚しい音だったように聞こえたのはその主を見てからだ。
「…こ、こんばんは」
控え気味の来客はどこか様子がおかしかった。それも見てわかるぐらいに。
「どうしたんだよ」
絞り出した声はどこか怒りを出すかのように恐ろしかったのがわかる。彼女に怒っているわけではない。ただ自分に怒っているだけ。それなのにこの怒りの行き場を彼女へと向けてしまった。
それが影響してか自分の機嫌が悪くなる。頭に血が上って怒りたいけど怒れないムシャクシャした気持ちになる。…自分の怒りにくせに。
「ご、ごめん…なさい。いきなり連絡のせずに来ちゃって」
怯えた声で謝る彼女を見て心の底から自分への怒りが込み上げてくるのを感じた。愛した女の子に怒りを向ける最低な男である自分がどうしても許せなくなってくる。
「…いいから上がれよ。そんなところに入られたら迷惑だ」
「あ、はい」
クソッ。俺は最低な人間だ。
怯える彼女を見てしまうとどうしてもそう思う自分が殺してやりたいほど憎かった。


初めてではない。怒りを感じる圭ちゃんを相手にしたのは何度もある。
ちょっとしたことで機嫌を損ねた時。機嫌が悪い中、些細なことで傷つけた時。少なくとも二回はあったと記憶している。
そして今回は三回目。だが今回は違う。奥底から来る怒りが心身を締め付けるようでとても怖い。死ぬ・殺されると感じさせられたりはしないが、何か別の恐怖。わかりやすく言うなら一番大事なものが壊れてしまいそうな気がしていた。
背中を見るように圭ちゃんの家に上がるが本当はあまり上がりたくないのが本心だ。可能なら逃げてしまいたいとも思ってしまうほどだ。
案内されて入ったのは居間。すでに見知ってしまう光景が今はとても禍々しい。きっと圭ちゃんの心の変化が部屋に影響を及ぼしたのだろう。暗い部屋の明かりが灯されても悲しいイメージが胸に染み込んでくる。
一体何があったのか知りたいが今言ってはダメだと理性が訴えかけてくる。もちろんそれには同意した。だからこそ何も言わずに圭ちゃんの出方を窺った。…怯えながらも。
「それで。何かようか?」
いつもより迫力のある口調であるがために一瞬ピクッと身体が震えた。それほどまでに恐怖心はないのだが今のは迫力負けしてしまった。
ダメよ。ここでビクビクしてたら危ない。
「そ、その…受験の報告に来たん…だけど」
「ああ。そう言えばお前、発表に行ってたんだよな」
ここで高くても偏差値はせいぜい65~70。その中で県立。そして偏差値68の学校に入るために受験したのだが。
「…それで……おち…ちゃ、た」
「………………」
「…け、圭ちゃん?」
「………残念だな」
静かに答えたのはそのような些細な一言。感情がなければ興味もないとでも言われた気がするような想いが悲しく入っていた。
「…そうだね。せっかく…圭ちゃんに」
「気にするな。まだ先があるだろう」
まるで受け流すように言われつづける言葉に頭に血が上ってくるのがわかった。いくら圭ちゃんが怒っているとしても…あまりに無関心であった。こんなの…酷い。
「それで…このさき、どうしようか…?」
「また次を探せばいいだろう。どうせ学校なんてまだあるんだから」
ズサッと刺されたような痛みが前身を支配した。心の痛みだったはずだ。なのに…体全体にまでも影響を及ぼすほど絶望的な痛みだった。…やっぱり無関心。それに…らしくない。
「でも…低い学校しかないよ。そんなところ言っても…」
「いいだろう。どうせ県外に行くわけじゃないんだからさ」
やっぱり…私の知っている圭ちゃんじゃない。あの頃みたいに私のために叱って教えてくれた、一緒に東京の学校に行こうって約束した、大好きな…圭ちゃんじゃない。
「だから焦らなくても―――」
焦るよ!!!!!
耐え切れずに私はまた圭ちゃんに飛び掛った。そう、「あの時」みたいに。
「私は高い学校に行きたいの!!!!圭ちゃんと一緒に東京に行って、一緒に勉強するために低いところじゃダメなの!!!!それは圭ちゃん自身もよく知っているでしょうッ!!!!!」
「…………」
「好きなのに…圭ちゃんのこと、好きなのに。……私、今の圭ちゃんのこと好きになれない!!!」
涙が…溢れてくるのがわかった。頬を伝う温かいものがとても虚しくて切ない。
こんなにも好きなのに好きになれない。決意は決まっていたのに言えない。私はこんなにあなたのことを……。
「好きなんだよ…圭ちゃんのことが」
「魅音……」
「こんな圭ちゃんは好きじゃないけど、私は嫌いになれないよ…っく」
「魅音……俺…おれ」
圭ちゃんの顔も少しずつ本来の色を取り戻してきたがその色は悲しいくて醜い。今更ながら自分の過ちがわかったと言うような表情であった。
私はこの圭ちゃんを見たからって軽蔑はしない。ただ……少し許せなかった。
「言い訳はいいよ。圭ちゃんが何かで苦しんでたのはわかるから責めはしないよ」
「魅音……でも」
「ただ……これが原因で嫌いにはならないよ。私は…ずっと圭ちゃんが好きだから」
それだけは言う。好きになったんだから…嫌いにはなれないよ。
「だから、また明日からいつも通りに頑張ろうよ。いつもの…大好きな圭ちゃんで」
スッといつものように明るく微笑んで見せた。もしかしたらおかしな表情かもしれない。だけど今できる最大の励ましであって心の整理だと私は思った。
そう………この変わることのない想いを。

第3章 1話



この手の話は珍しいと思うんですがね。どうかな…--:
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すれ違いと困惑

何だか二人とも、ひどく疲労していますね。
やり場の無い、怒りによる憤り、悲しさ、つらさ、寂しさ、なかなか引き込まれました。

すいません、全体より、最後の二人の会話が強く印象に残ったらしく、短い感想です。

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キラ

Author:キラ
中二病の同人大好きな変態。アニメよりゲーム派。
07th作品はうみねこよりもひぐらし。
いまだに圭魅が大好き主張は変わらず。
創作活動は別館で進行中。

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