fc2ブログ

LOVE~HEART~ 1

2008–03–23 (Sun) 23:50
卒業式。そして、終わりの序章。
最後の最後にどんなことになるか…そんな意外な結末に驚き…かな?(おいっ



「ここともお別れか……寂しくなるね」
「そうだな……その気持ち、なんとなくわかるよ」
夕闇の教室はどこか寂しくそして切ない。まるで儚い夢のようだ。
そんな教室には俺と魅音しかいない。もしかしたら別の場所に誰かいるかもしれないがここには二人だけ。それに魅音は…。
「卒業式ってのも…悲しいものなんだな」
第一回の卒業生、園崎魅音。そんな名前は見方としては偉大なのかもしれないが俺にとっては悲しいだかだ。
この名前の意味はもう分校には魅音が来ない。そう考えると…胸が張り裂けそうで死んでしまいたいくらいの痛みを感じてしまう。
ぎゅっ。隣の魅音の手を握り自分を落ち着けようとした。しかしそうしてしまったのが間違いだ。
「この手も…明後日には懐かしいものになっちまうんだよな」
明後日には俺たちは別れてしまう。魅音は雛見沢を出て行ってしまい俺はこのまま分校で一年を過ごす。
魅音が言うには綿流しのお祭りまでには帰れるというがそれまでの時間はどれだけ長いのか想像できない。想像なんてしたくもない。
「そうだね……なんだか、悲しいね」
魅音は俺に肩を預けてきた。それに優しく肩を抱いて答えた。
「温かい……それに逞しい」
「安心できるか?」
今だけでも離したくない。そんな一心でぎゅっと力を込めた。
「うん…圭ちゃんがいるだけで安心できるよ。ありがとう」
愛しい声。少しだけ心が癒された気がした。




数時間前。この場で卒業式が行なわれた。
「園崎、魅音」
分校には体育館はない。だから式は教室で行なわれた。
集まった人は少数。たった一人の卒業生に集まったにしては多い方だった。それが、魅音だからだろう。
校長先生の声が教室中に響いた。その声と共に魅音ははい、と返事をした。
俺や他の皆もそれを見守った。式なのだからそこまで緊張をしなくてもよいのだが、仲間が去っていくことに何かしらの抵抗があったのだろう。だが俺は…恋人として、だ。
「卒業証書、授与」
その声と共に切なさが一気に胸中に広がっていく。
ああ、魅音がこの場を去っていくのだな、と自覚させられてしまう。魅音の卒業はただの卒業ではない。この雛見沢を一時期去る、苦渋の卒業なのだ。それは魅音自身もよく知っているはずだ。
「園崎魅音。あなたはこの雛見沢分校の―――」
黙々と読まれる長い文章。そんなものを聞けるほどの俺に余裕はない。
「魅音…」
俺の瞳には魅音しか映っていない。それだけが精一杯だ。
長い長い文章も、周りからの声も、俺には聞こえない。俺の心は、魅音でいっぱいだった。
「ここに卒業証書を授与する。おめでとう」
「ありがとうございます」
何一つ隙もなしに魅音は卒業証書を受け取った。しかし隙がないゆえに隠れた部分が丸見えだった。
泣いてるくせに…強がりなやつだ。
涙は流していない。目も潤んでいないし表情も曇っていない。しかし心の底は透明だった。
「あいつも……バカだぜ」
そんな姿に俺は目が潤んだ。
ここまで強がるわけはわかっている。だから代わりに俺が泣いてやる。魅音の分も…涙を流してやる。その代わり…。

「お前の涙は……俺が拭ってやるから」



式は一時間で終わった。卒業生が魅音一人であること、初めての卒業式だからこそこんなに少ない時間で終わってしまった。
「あの時の言葉、聞こえたよ」
「……そっか」
それから俺たちは園崎本家の魅音の部屋で座り込んでいた。
卒業式の余韻と悲しみが少しだけ残っていたが魅音との時間が流れていくおかげで少しずつ消えていった。しかし消えていくのが少しだけ悲しいがな。
「私は泣かないって言ったよね。だから…泣かないよ」
「………」
昨日の帰り道に言った魅音の言葉が、頭に過ぎった。

『私は泣かないよ。笑って卒業するのが私らしいから』

『泣いちゃったら…圭ちゃんに申し訳無いからさ』

あの時の魅音の顔は逞しかった。だから俺は納得できなかったし悲しかった。
泣かない魅音は俺の知る彼女じゃないから…また何かを引きずって傷を残したままにするから。
「式は終わったんだ。泣いたっていいんだぜ?」
その言葉に魅音は首を横に振った。
「泣けないよ。泣いたら……弱いまま別れちゃうから…」
やはり強がりだった。震えた声がそれを感じさせた。
どうやら魅音の心配の元はこの後のことだった。数日後の…別れの日の心配だった。
「少なくとも、俺は泣いてくれないと心配でしょうがない。魅音ってすぐに引き込んで考えるからさ」
「……信頼、ないな」
はは、と苦笑いしながら暗い表情は崩さなかった。やっぱり自分で自分を追い込む戒めはん無駄で愚かで放っておけない。
「俺は信頼してるつもりさ。辛い時は全然信頼してなかったけど今はお前のいうことを信頼して素直に話せるつもりさ。まあ時と場によるがな。……だけど、俺が思うに魅音は俺を信頼してないんじゃないか?」
「……そう、かもね。そうかも、しれないね」
以前として魅音の表情は暗いままだ。
このような感情表現は魅音は正直だ。自然に喜怒哀楽を素直に表現してくれて嬉しいし信頼できる。
でも気持ちの方はやはり一人で背負い込んだままだ。誰かに助けてもらえばいいものをどんなものも一人で全て片付けてしまう。その点に関してはやはり俺の完璧に受け入れてくれていないことの現れだ。
「魅音。俺はお前の支えになれないのか?魅音にとって俺は彼氏だけなのか…?」
「…………」
魅音は天井を見上げた。その答えを知っているが…答えることに何か抵抗があるみたいに。
俺は……イエスと答えてもらいたい。
「少し…散歩、しようか」
逃げた、というのが正解。答えを言うことを…恐れたのか。それとも…。



魅音にとって雛見沢の夕焼けは特別だ。そう聞かされたことがある。
数日前に笑顔で言った彼女。しかし今の彼女はどうだろうか。
「…最近、元気ないな」
「そう…かな」
自分に少しは自覚があるくせに知らないふりをしてやり過ごした。でもそんなことはバレバレだ。
だから、不安でしょうがない。魅音のことも…自分の、ことも。
「親族会議もあまりなかったはずだぜ。一体どうしたんだ?」
「……………」
やはり何も答えてくれなかった。
魅音は…何かを隠している。心の奥でそんな気がしてならない。
「あと少しで…お別れ、だから」
天を煽りながら魅音は言った。
言われてみれば、と納得は出来た。それは魅音がどれほど雛見沢を好きで離れたくないかを知っているからこそ理解できるものだ。そして、少し違うが俺も同じような気持ちを持ったりできるからであろう。
「私、長い間遠くまで行ったことがないから。だから、何ヶ月も雛見沢を離れることが不安なの」
「……そっか」
「次は何時帰って来るんだろうか。みんなどうしてるんだろうか。ここはどうかわったんだろうか。って知らないことの色々な不安があってさ。それでずっと不安なの」
それは頭首だからかそれとも雛見沢を好きだからか。
そんな質問を投げかけようとしたが質問するまでもないことだと理性が答え寸前でそれを飲み込んだ。
「不安で、不安で。ずっと…ずっと…」
苦しみの理由がやっと理解出来た。しかし、こんなにまで苦しむ魅音に気づけなかった自分がどうしようのなく情けない。
そのことを一番経験しているであろう俺がそんな気持ちを理解できず苦しめてしまった。やはり俺は..まだまだだ。
「ごめん…魅音」
何も言わず魅音を抱きしめた。珍しく暴れたり動揺を見せたりはしなかった。だがそれが逆に不安だった。
「圭ちゃんが謝る必要はないよ。私が思いつめただけだから」
弱々しい声。そして、力のない腕の力。
やはり心配でしょうがない。不安は膨れ上がった。




そんな不安を残しながら教室は綺麗な夕焼けだった。
「魅音は…夕焼けに照らされた教室をどう思う?」
話を作りたいがためにそんな質問をしてみた。いや違うな。魅音にも気持ちを聞きたかった。
俺と同じか否かを。
「なんだか……悲しいね。綺麗なんだけどそう思っちゃうかな」
「そっか……俺と同じだな」
「……圭ちゃんと…同じ、なんだ」
会話が続かない。一言一言がとても短く、そして悲しい。
魅音の気持ちのせい。そんなことに薄々気づいている。だが…認めるのが少し辛かった。
認めてしまったら、それは俺のせいだとまた罪悪感が生まれ魅音を困らせてしまうから。
「なら、圭ちゃんは今の私をどう思ってる?」
「…………」
いきなり吹きかけられた難題。そんなことは決まりきっている。なのに何故か…言葉を選ばないといけない。
「…魅音は俺の好きな女の子だ。ずっといたいと思ってるし、助けたいと思ってる」
言葉を選びながら慎重かつ素直に話していく。一歩でも間違えたら何かが危う気がしてならない。何故か…そう思ってしまう。
「それは本当のこと?」
俺はああ、と目を逸らさず頷いた。
その瞬間、魅音の目に弱さが蠢いた。まるで…抑えていたものを少し出してしまったように。



「……帰ろうか」
癒されていた矢先に不意に魅音はそんなことを言った。ここに来てまだ5分も経っていない。しかし魅音は俺の返事も言わず静かに教室の外へ出た。
その姿を急ぎ足で追っていった。なんだか…またよからぬ不安を感じたから。
「………」
「え…?」
魅音はその言葉を残し下駄箱の方へと向かった。
しかし…その言葉はどちらに向けられたのだろうか?
俺か教室に対してか、それとも学校自体か。

「……『さようなら』って」

しかし俺は後々後悔した。この言葉の真の意味と…何を指したかを。
この頃の俺は気づくことが出来ず不安だけを残し魅音のあとを追った。





短めにしたのは書くことが少ないからですね。
暗い雰囲気と不安な色。それらの正体は…次でほぼ明かす気です。
そう…この先に待つ、悲しい核心を。

この言い方、次回予告みたいだな^^:
スポンサーサイト



« 気づかなかったなぁ~消えてたから | HOME |  LOVE~HEART~ 2 »

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

"卒業"の感想

読ませて貰いました。
なんだか切なくて、悲しい内容です。
そして、魅音さんが抱える新たな不安と闇が文末を薄暗くしている気がします。
新たな悲劇と悲しみが無いと良いのですが。

次回どうなるんでしょう?
すごく気になります。

えっと…はじめまして!
一昨日、このブログを見つけ、ハマってしまいました。緋聖です。
それにしてもすごいSSの量ですね。最初から読み返しているのですが、それだけで春休みが終わってしまいそうです…(汗

コメントの投稿

 
管理者にだけ表示

 | HOME | 

FC2カウンター

最近の記事

最近のコメント

月別アーカイブ

カテゴリ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール

キラ

Author:キラ
中二病の同人大好きな変態。アニメよりゲーム派。
07th作品はうみねこよりもひぐらし。
いまだに圭魅が大好き主張は変わらず。
創作活動は別館で進行中。

カレンダー

03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

リンク

リンク

参加中同盟

ひぐらしのなく頃にWebRING

貰い物

わけあい:18禁圭詩×魅マンガ ヂャイロ