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LOVE~HEART~ 2

2008–03–26 (Wed) 23:53
クライマックスも近くなる中、ついに書きたかった部分が来ました。
この展開は違法だ、なんて言わないで下さいね^^:



静かに時は過ぎ4月も近くなった今日。
「……魅音」
不意に懐かしい名前を呼んだ。まるで昨日出会ったような印象をもたせる響きだ。
しかし印象は所詮、夢物語だ。
さて、と立ち上がり隙もなしにその場を後にした。目的地へはここから遠くないのに、冒険に行く気分だった。


数日前。
深夜の集会場に何人かの関係者が集まって会議と言うには少し小さい集会を開いていた。
「それで自殺の意図はわからないんですか?」
「ああ。そんなことをしようとした魅音の意図なんて想像もつくわけがない。圭一君と幸せそうに笑っていたあの子が自殺なんて図るとは、思いもしなかったよ」
「それについては同感ですね。私も妹として見守ってきましたが、そんな馬鹿なことをするほどお姉は狂ってませんし望んだりもしてませんよ」
「う~ん~。だったら誰かが自殺に見せた、と考えるのが普通ですがこの雛見沢ではそんなことはありえませんよねぇ。そんなことをしたらどうなるかは村の人たちはみんな知ってますし殺す意味なんてまったくない。う~~ん考えれば考えるほどわかりませんね」
「そうですね。私たちも魅ぃちゃんを見てきたけどそんなことをする意図も考えられないし、大石さんの言う殺す人も私たちの周りにいませんね」
「なら園崎家に恨みを持った人間と考えるのはどうでしょうか?」
「沙都子、それはさっき言いました。そんな人間がいても殺すまでは考えたりしない、と」
「それじゃあなければ東京の山狗は?」
「ありえませんね。山狗が個人の恨みだけで働くなんて考えられません。それに山狗はもう解散しています。残党が残っていたとしても少数で魅音さんを暗殺など考えたりしませんし園崎家に忍び込んで見つからず殺すことなんて不可能に近いことです」
「入江先生の言うとおりでしょうね。園崎家に少数で忍びこもうとしても人数的に少ないから何かしらの手がかりを残してしまうやり方でないと侵入は不可能でしょう。しかもここ最近、警戒が厳しくなったとお聞きしましたが、それが本当なら9割方の確率で失敗でしょうな」
「その予想は当たっていると思います。山狗とて今の園崎家に入るのには監視カメラの破壊は必須なはずです。なんたってその監視カメラを潜り抜けるのは理論上不可能に近いことですね。それに軍隊のお偉いさんの監修のもとで作る上げたものです。いくら特殊部隊の残党とて何かしらの証拠は残してしまうでしょうしね」
「じゃあ…暗殺というのはまずありえないということになるんですか」
それにみんなは一斉に頷いた。つまり暗殺という意見はここで消えたと考えてよいだろう。
「なら、自殺したと考えるしかありえませんか…」
「そうですね。魅音さんの自殺未遂と考えるのが妥当でしょう」
『……………』
結局はその結論に結びつくしかなかった。
暗殺など考えられない今、他人の手ではないのなら自分の手、自殺と考えるしかない。
「しかし…魅音さんに動機が考えられませんことよ」
「そうですね。私も長年刑事をしてきた身ですがここまで難しいことに直面するのは初めてです。長年の感ってやつも、ここじゃあ使えませんし役に立たないでしょうかたね。んっふっふ」
大石さんは苦笑いを浮かべながら白旗を揚げた。
確かに大石さんのいうことにも一理ある。魅音の動機がまったくと言っていいほどわからないのでは感なんてものは使えるはずはない。それに大石さんは魅音と多少関わりがあるが毎日会うようなほど深い関わりはない。それを考えると魅音の動機を想像するには手がかりが少なすぎる。その点では動機の面で大石さんは蚊帳の外と考えてもおかしくない。
「なんだい。そんな余裕な笑い方を大切なところで使えないね」
「お母さん。今はそんなことを責める時じゃないでしょう。それに動機に関しては部活メンバーの私たちが考えるしかないんですから」
詩音の言うことに俺たち部活メンバーは大きく頷いた。
それを見た茜さんと大石さんはそうだと言うように納得したように頷いた。
「まあそう言うことですが、ここで一番動機を想像出来そうな圭ちゃんは何か思いつきませんか?」
「って、俺からかよ!!!」
「当然でございますわ。圭一さんは魅音さんの彼氏なんですから」
沙都子の簡潔な訳に俺は頷くしかなった。魅音の彼氏の時点で一番の理解者である俺にたどり着くのは自然な流れだろう。だが…。
「……悪いが、俺にもわからないんだ」
ここ最近、何かしら魅音の様子がおかしいことには気づいてはいた。しかしそれだけでは自殺の動機を考えるのに情報があまりにも欠落し過ぎていた。
それに、幸せを掴んだ人間がそんな簡単に幸せを手放すことは普通に考えて異常な出来事だ。その時点で魅音の動機なんてわかるわけはない。
「…神のみぞ知る、だね」
『………』
または魅音本人しかわからない。しかしそんなことはみんな言わなくてもわかっている。
「………とりあえず、自殺ではない。それだけはわかったことですし今日はこれぐらいが潮時でしょう。眠い時間帯に話し続けても成果は出ない。それに疲れが溜まっては話し合いにもならないことですし」
「そうだね。大石の刑事さんの言う通りだね。とりあえず、今日はここでお開きにして各自家に帰ることにしようかね」
大人二人の意見は正直に言うと不本意だが、このまま話し続けても意味はないし疲れを溜めておくことは身体に毒だ。それに……。
「わかりました。みんな、とりあえず今日のところはお開きだ。いいな?」
部活の部長代理として疲れを隠しながら宣言した。それには不本意と表情に出しながらも小さく頷いた。どうやら…このまま終わらせるのはみんなも不本意だったらしい。
「それじゃあ、また明日の夜に、ってもう12時を回ってるか」
「わかってます。みんなも大丈夫だよな」
『もちろん!!!!』
「それでは今日のところは解散とする。それじゃあまた夜に」
とりあえず、今回の集会は自殺未遂という結論だけが出た。



翌日の夕方。俺は古手神社の社の前に佇んでいた。
静かな社の前にいると綿流しの太鼓の音が耳に聞こえてくる。
炎に照らされた社と梨花ちゃん。鍬を振り綿を取る。あの作業が俺の中で大きな印象を残した出来事の中の一つだ。それはあの時、事件に打ち勝った喜びからかもしれない。しかし何故かそうとは思えない。
「あの光景……」
何度も見た気がしてならなかった。何十回も何百回も何度も何度も同じ日に。
そんなことはありえない気がするのだがどうしてもそうとしか思えなかった。
しかし、今日はそんなことをしに来たわけじゃない。
「ははは。こんなこと、ガラじゃないな」
苦笑いを零しながら軽口を叩くが、あくまで隠すだけしかならなかった。本当なら、少しだけ気持ちが軽くなってもらいたかったのだがそう簡単にはいかなかった。
仕方なく、すぅーと深呼吸をし音を立てずに吐いた。
気合を入れ俺は、その場に土下座した。
「こんなことしておかしいかもしれないけど、頼む。オヤシロさま!!!」
社の前で俺はいるかもわからないオヤシロ様に強く願った。

「魅音を、救ってくれッ!!!!!」

…………………。
返事なんてくるわけはない。いない神様を信じたりもしていない。
だが、わからなかった。力がなかった。悔しかった。
誰かに泣きつくことも出来ない。だからといって一人で全て解決することも出来なかった。だから俺は、人間としての最後の手段の一つ、神に祈った。
「……………みー」
「えっ……?」
声が聞こえた瞬間に頭を撫でられていることに気づいた。
しかし、神に祈る精一杯の行動をした俺はそれが誰なのかわからずきょとんとした顔でその人を見た。
「圭一が強く願えばオヤシロ様が助けてくれるのです」
「梨……花…ちゃ、ん」
梨花ちゃんの笑みは俺の知っているいつもの笑みだった。心の底から笑う励ましの笑みだった。
「オヤシロ様は強く願った願い事をちゃんと叶えてくれるのです。にぱー☆」
「……………」
だが俺はその笑みに答えることは出来なかった。昨日の梨花ちゃんを見ていた俺には…。
「みー、圭一が怖いのです」
「茶化さないでくれよ。梨花ちゃん」
そんな笑みには騙されない、と梨花ちゃんを睨みつけた。しかし梨花ちゃんはその笑みを消さず微笑みつづけた。
「知ってるんだぜ。本当は…知ってるんじゃないのか?」
「みー?」
「魅音の自殺の理由。そして、目覚めない理由を。知ってるんだろう?」
「……………」
そして笑みが消えた。周りに嫌な空気が流れるが今はこの空気が丁度いい。
こんなことを隠している化け狐には……重い空気が丁度いい。
「ふっふっふっ」
そして狐は一人の魔女になった。




「何故、話さなかったんだ」
「あの場で話しても意味がないからよ」
魔女は顔色を変えず黙々と答えていく。俺はそんな魔女を睨みつけて離さなかった。
「そんなに敵意を出さなくてもいいわ。私は魅音を殺す気なんてないわよ」
「殺す気がない?…はっ、馬鹿を言うな。そんなことを知っていたくせに話さなかったクセによぉ!!!」
「話すのには時期というものもあるわ。そんなに焦っても意味がないからよ」
「……詳しく、訊かせてもらおうか」
いいわ、と魔女は微笑んだ。
こんなに人を憎んだのは人生で初めてだろう。


ここまでの話を整理しよう。
園崎魅音。
彼女は卒業式の翌日、家の屋根から飛び降り自殺をしようとするが未遂に終わった。
しかし搬送先の病院で頭を強く打ったことが原因で昏睡状態に陥った。だが脳に何も異常はないと言われ原因が不明に。
そして、調査と集会の結果、自殺の線が濃厚になっていた。
だが……魔女は知っていた。全てを…知り尽くしていた。


「それじゃあ……自殺だったのか」
「いえ。自殺は自殺でも好きでやった自殺ではないわ」
魔女は冷静に答えていった。何にも動揺を見せず、俺の興味にも関心を持っていない。だが見えない怒りが透明に燃えていた。
「じゃあ…誰かの…せいで?」
「ええ。彼女の意思とは違う誰かのせいよ」
そして、魔女は俺を見た。静かに怒りを…燃やしながら。
「お……れ…な、のか?」
魔女は偽りのない瞳で静かに頷いた。
「少なくとも自殺に追い込んだ動機はあなたにもあるわ、圭一」
「……………」
心の奥で…気づいていた。
魅音の様子がおかしいと気づいていた。それに俺に何か悪い眼差しを向けていたことも。
だから昨日も、自殺だと確信していた。そして、目を覚ました魅音に会いたいと思うだけではなく謝りたいとも思っていた。
ただ俺は…謝りたかった。
「知っていたのでしょう?魅音の様子がおかしいことぐらい」
「ああ。知っていたが…見ないふりをしていた」
驚きは何一つない。むしろ見破られたことに納得ができる自分がいた。
「知っていたくせに知らないふりをしたのはあなたの責任よ、圭一。と言ってもそれは自分が一番知っているわね」
梨花ちゃんは何もかも見破っていた。もう隠し事なんてないことも、俺の今の心境も。
「救う方法はもちろんあるわ。ただ、死ぬ覚悟だけは必要よ」
「死ぬ…覚悟」
「生きて帰られて確率は一割もないわよ」
ここにきて魔女は心配そうに俺を見た。瞳の奥では答えなど聞かなくてもいいと言っているが、さらにその奥にはやめてもらいたいと語りかけてくるのがわかった。
きっと、これはあの事件での戦いよりも辛い戦いになる。しかも仲間の助けには何一つ期待が出来ない。孤独なる戦いになるだろう。
「仲間は…いないんだろう?」
梨花ちゃんは辛そうに唇を噛んだ。梨花ちゃん自身も不本意のはずだ。それに、こんな危険な賭けに俺一人立ち向かうなんて、飛んで火に入る夏の虫だ。
しかし俺は立ち向かうしかない。そして魅音を取り戻さなくてはいけない。
「………わかったわ」
魔女は……涙を流しながら合意した。




夕日は沈み一面が暗黙に変えていく。月が雲に隠れてしまっている今日は社の前には明かりなどはない。だが今はそれが幸いだった。
「鬼が原因なのか…?」
「少なくともそうとしか考えられないわ。それ以外に自殺する理由なんてありえない」
「確かに。屋根の上から自殺するなんて普通はしないはずだよな。俺なら首を吊って死ぬのが確実だしそんなことをしたら誰かに見つかる可能性がある。その点では今回の自殺はおかしいな部分が多すぎたからな」
そうねと魔女は頷いた。これを知りながら魔女は昨日の集会に参加していたことにまだ何かしらの不満があるが言っても意味がないことを考えると仕方ないと冷静に片付けられた。
それにこれを知りながらも伝えることができない悲しさはとても辛かったはずだ。その点でも梨花ちゃんは苦しんだだろう。
「俺以外の仲間に…言わないのか…?」
「言う気だったけど、きっとあなたをとめるわ。それに今回はあなた自身の問題でもあるはずよ。ここで他の仲間に言ってもいいわけ?」
「………少なくとも…言うべきだと思う」
不安をいっぱいに背負いながらも俺はこれが正しいと言える。それに梨花ちゃんはクスクスと笑った。
「あなたなら…そう言うと思ったわ」
やはり見透かされていた。いやこうするべきだと魔女はわかっていたのだろう。
「だけど大石と茜には言わないわ。あの二人に言ったところで意味なんてないし信じるかもわからない

「ああ。それは仕方ないと思う。こんなことを信じるのなんてあの事件を体験した部活メンバーとぐらいだからな」
「…………」
不意に梨花ちゃんは悲しむように俯いた。何かしら事件のことで思い出すべきことでもあったのだろう。
刹那、何か大切なものが横切った気がした。忘れられてた何かを…。
「圭一は…オヤシロ様のことを覚えている?」
「オヤシロ様…?」
それは意外な質問だった。
俺の中でのオヤシロ様は雛見沢の守り神。縁結びの神様であったり幸運の神様であったりと様々な異名を聞くが、実質は空想上の守り神。
だが梨花ちゃんはそのオヤシロ様に会ったかと訊いてきた。もちろんいいえ、と答えようと思ったが舌が痺れた。
「…………さあな」
痺れが抜けた瞬間に出た答えは雲。わからないと答えた。
しかし何故だろうか、これで正解だった気がしてならなかった。
「そう。なら…いいわ。話を戻しましょう」
「???…ああ」
「圭一、今回の相手は鬼。つまり彼女の精神の中にいる鬼を倒さなくてはいけないのよ。それも命がけでね」
「わかってるさ」
精神ということは魅音の精神に入り込んでその中で鬼を倒さなくてはいけないということか。
まるでファンタジーの世界に入り込んだ気分だ。しかし現実では鬼は存在してしまっている。しかもその証拠を俺たちは見てきている。
「あともう一つ。これはあなたしかできないわ」
不意に梨花ちゃんは付け加えるように話しつづけた。
「俺にしか……?どういうことだ」
「人の精神には心の壁があるわ。それを素直に受け入れ吸収する壁と受け入れたくないと跳ね返し続ける壁。まあその二つも結局は吸い込む機能しかないのだけれど、人が勝手に精神に入るとなるとそれらは効力をあらわすわ」
「それじゃあ、その二つを問題なく抜け魅音の心にたどり着いて鬼を倒すには俺だけしか出来ないってことか」
そうね、と梨花ちゃんは表情を崩さずに相槌を打った。
「詩音でも可能かもしれないけど、詩音にも鬼は住みついているから何かしらの反応を起こすかもしれないわ」
「…本当に、一人だな」
「………ごめんなさい。本当なら私がやるのが一番いいのに…」
この方法を一番知っている梨花ちゃんが一番辛いのだろう。それを実行できない自分と魅音の心の壁を抜けられない無力なことが人一倍悔しいのだと思う。
「わかってるさ。……だけど、これは俺の責任でもある。やらせてくれ」
しかし俺の決意は変わらない。
こうなったのは俺にせいであることは自分が一番よく知っている。その罪滅ぼしとして…俺が魅音を救いたい。だから、俺がやる。
「わかってるわ。だから……辛いのよ」
魔女は…悲しそうにそう呟いた。





自殺と明かされた事実。
そして、真実と終わりへ…。

なんて次回予告です。あまりに多く書きすぎたためにどれだけ誤字脱字があるのやら、と不安がいっぱいですorz
サスペンスっぽくなってしまったかね?と言っても、サスペンス系の小説を見たことがないからわからないぬぇ(爆)
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コメント

悲しみの真実へ

読みました。
まさか、幸せの中で鬼が宿主に牙を剥くとは。
心の緩みなのか、或いは、魅音さん自身の圭一さんに対するなにかしらの心情なのか。
圭一さんが魅音さんの救いになれる事を願います。

悲しいもの・・・

love~haert~ 2拝見しました。
魅音が自殺未遂ですか、そして原因は圭一にもあるということで。
これから先は圭一が言ったように少しファンタジーになっていくのですかね?
ハッピーエンドを願いつつ続きを期待しています。

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まさか自殺未遂とは・・・
このさきどうなるんでしょう・・・

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中二病の同人大好きな変態。アニメよりゲーム派。
07th作品はうみねこよりもひぐらし。
いまだに圭魅が大好き主張は変わらず。
創作活動は別館で進行中。

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