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情尽し編 其の六 彼女

2008–04–22 (Tue) 23:48
区切りがいいというわけでsssになってます。
注意ですが、圭魅派の方には刺激が強すぎるので心してかかって下さい。



「そっか…風邪なんだ」
レナは無言で頷いた。その目からはただの風邪ではないと言ってるようにも思え無言の意味を多少理解した。
「では、お見舞いに伺わないといけませんね」
「うん…そうしたいんだけど」
沙都子の言葉にレナはとても残念そうに口を止めた。
何を言うか理解したらしい梨花ちゃんと羽入はレナの変わりに言うと前に出た。
「圭一は誰にも会いたくないのです」
それには驚くしかなかったがなんとなくその意図が理解できた。
「梨花、それはどういう意味ですか?」
「圭一は調子が悪いのです」
変わりに羽入が答えた。沙都子は納得できないという表情を保ったままさらに追及したが結局はそれしか二人は言わなかった。
「レナ…本当?」
私はレナに質問をしたがレナはまた無言で頷いた。
どうやらレナも事態の重さを理解し自分の感情を隠すことなど出来なかったみたいだ。
「じゃあ…ただの仮病?」
今更そんなことが頭に過ぎったが、本当に風邪だよとレナは答えた。
風邪と会いたくないは別問題みたいだ。私は会いたくない理由が少しずつだがわかってきた。
「私…の、せい、かな」
「それもあると思いますが、きっと別のことで悩んでいる気がします」
羽入はそんなことを言うが私の罪悪感は消えない。
「でも!!私があんなことを…言った、から」
「魅ぃ。圭一は大丈夫です。僕が保証します」
梨花ちゃんはそう言うと私に満面の笑みを見せた。
しかし…やっぱり心は晴れなかった。むしろ時間が過ぎるごとにモヤモヤが胸中に広がっていく気がしてならなかった。
「圭ちゃん…」
呟いた声は彼に聞こえるはずなどないのに…名前を呟いた。



次に目が覚めたのは夕方だった。
ここまで長い時間寝ていたら頭痛もほとんど消えてしまっていた。それに心のモヤモヤも少しだが消えた気がした。それが時間的なものだとわかっていても少しは気が楽になる。
だが時間的と理解していたからだろう。体はすぐさま最低限の動きをするために部屋を出て台所へ向かった。
はっきり言うと夕食は何にするかなど決めてはいない。しかしそんなのは決まりきっていたことだ。
夕食を何に知るか以前に料理が出来ないし食材がない。カップ麺と考えたが身体とこれからのことを考えるとやめておいた方がいいと思った。
だから台所に行く目的は腹ごしらえではない。目的は…薬を飲むために来た。
ビンから二錠取り出しコップにいっぱいに水を入れた。薬をゆっくり飲み込み、空になったカップにもう一回いっぱいに水を入れそれを飲んだ。
水分補給だけはしておかないと思い薬と一緒に二杯飲んだコップを水で適当に濯いで台所を後にした。
そしてトイレを済ましておき鍵のチェックもした。
誰にも会いたくないと言う想いが強かったゆえかそれは真面目に行い安心して自分の部屋にあがった。
殺風景な部屋はどこか悲しい色を放ちとても憂鬱にさせる。
心の奥であいつらのことが頭から離れずにいた。そして、そのさらに奥には…。
「ッ……馬鹿か俺は」
胸が痛くなりどうしようのない顔が頭を過ぎっていく。
そんなこと今は考えるなと自分に言い聞かせるが意思とは別のものが働き言うことを聞かなかった。
そして、足は勝手に動き出し窓の方へと向かっていく。
やめろ、行くな…と思うが足は勝手に動いていく。まるでそこに行きたいというように。
カーテンの先は夕暮れと門があるのはわかっていた。別におかしな光景ではない。一般的な光景だが今に限ってはそうではないと理解していた頃にはもう何もできなかった。
ゆっくりとカーテンを開けた先はやはり夕焼けがあった。
そして……悲しそうに彼女は俺だけを見つめていた。




そして三度目の目覚めは最悪だった。
気持ちがモヤモヤしていてギクシャクしていた。それに身体中が汗だらけで気持ちが悪い。
だから着替えようと思ったがその前にシャワーでも浴びておこうと思った。
病人がシャワーなんてと思うかもしれないが時間帯を見てみると一時と明日になっていた。
気持ちは置いておくと体調の方は回復して普段どおりだった。頭痛のしなければ足がふら付いたりもしなかった。
だから浴室に入るのもスムーズに進みあがるのも楽だった。
濡れた体をタオルで拭き下着だけは替えておいた。服はどうせまた寝るのだからと思い着替えないことにした。
浴室の電気を消した頃には三十分が過ぎていて目がはっきりしていた。寝るのに困ったと思ったが別に重大問題ではないので無視していた。
真っ暗な廊下を出て見ると居間は綺麗な月明かりに照らされており、月が出ているほど外は綺麗だなと実感した。
そう思った途端、どんな風の吹き回しかわからないが俺は外にでも出ようと玄関のチェーンと鍵を開けサンダルを履き外に出た。
意外にも外は冷え冷えしていたがそれ以上に月が綺麗だった。
ああ、月ってこんなに綺麗で癒されるものなんだなと実感させられていた頃には玄関の石段の上に座って空を見上げていた。
しかし綺麗と思えば思うほどに月に嫉妬している自分を実感させられた。
あんな風に輝き続けていればどんなに楽なことか。そうすればこんなに悩まずに済んだのに。
そんなことを思うがそれの人間の定めと自分に言い聞かせた。
「………いつまでそんなところにいるんだ魅音」
「ッ!!!…気づいて…たの」
「まあな。無理をしてる奴だってわかってるからさ」
そう言うと魅音は門の影から現れた。すっかり冷え切ったであろう身体に悲しそうな表情。その姿はどこか痛々しく胸が締め付けられた。
「どうしてこんな時間までいたんだ」
「…知ってたくせになんでそんなことを聞くの?」
「じゃあ……いいや」
それだけを言うと俺は立ちあがり玄関へと戻っていった。
「ちゃんと寝ろよ」
「そ、それだけ!!?たったそれだけを言うために」
「ああ。迷惑だから帰れ。弁当を用意してくれたのは礼を言うがこんなに暗くなるまで待ってたのは許せない」
そう言い残し俺は玄関の扉を閉め鍵とチェーンをかけた。
「なんでさ!!!どうして―――」
「帰れ。それ以上何か言ったら絶交だ」
拒絶の言葉に魅音は何も言わなくなった。そしてしばらくして涙を流す声が聞こえた。
だが胸は痛まない。逆にこれでよかったと思えた。
それなのに…涙が頬を伝っていた。




気が付いたら私は涙を流すのをやめ圭ちゃんの部屋を見上げていた。
部屋には電気は灯らずとても悲しいイメージを胸に植え付けるだけ。
いや悲しいなんてイメージは植え付けられていない。もう悲しいことなんて体験して体験してつかれた。
手に握られた弁当箱。圭ちゃんのためだけに私自身が一生懸命作ったものだ。元々面倒だから弁当なんて余りものばかりだったが圭ちゃんがお腹を空かせていることを考えると作られずにはいられなかった。
受け取ってくれないことを知りながらも私は門の前で必死に圭ちゃんを待った。夜になって寒いなんて思っても、確証のないことを信じながら私は待った。
そして、出てきた頃には深夜。だが圭ちゃんから言われたのは拒絶。圭ちゃん本来の優しさは一瞬だけだった。あとに残ったのは怒りと苦しみの声しかなかった。
わかっていた。私が圭ちゃんの前にいっても悲しませるだけ。苦しめているなんてわかっていた。
でも、何も出来なくても私は圭ちゃんを信じた。信じて信じて信じ続けた。
だけど……それももうおしまい、かな。
圭ちゃんの苦しみを癒しに変えることは私には出来ない。むしろ私がいるから苦しみは苦しみのままでしかない。
私の中での圭ちゃんは、現実と大きくかけ離れていた。
女の子と意識はしてくれてはいたのは理解出来たが、友達にはもう戻れないとも思った。
他人の心をいきなり変えるのは難しいと自覚する頃には取り返しがつかない。
私たちは親友。そんな関係もどこで壊れてしまったのだろう。
もう戻れない。もう親友でも友達でもいられない。
だからといって恋人になんてなれるわけはない。もう友達ではないのだし。
少なくとも…圭ちゃんの意識はもう私に注がれることはない。
だから……負け、なのかな。
「あとは…レナだけか」
天を煽った。
舞台の役者であった私は一人、月に照らされ退場の時を迎えることになった。



その後に寝れたかと聞かれたらNOだ。
時間帯はそろそろ四時を回ろうとしていた。
布団には入ろうとも思えず俺は居間のソファーで数時間の一夜をすごした。
あのあとのことは覚えていない。記憶が抜き取られたみたいに消えていた
「魅音……」
よかったと思った。
拒絶をするのが唯一の救いだと俺は思い今も後悔はない。
俺を好きになってはいけないと魅音に言っても意味がないのはわかっていた。だから拒絶し離した。
だがもう友達にもなれないだろうと薄々感じていた。みんなの前で演じるのは一体何がいいのだろう。
仮初の友達?それとも親友のまま?
……馬鹿な奴だ。俺って人間は。
どっちも選択なんて出来ない。もう魅音とどうなるかなんて考えても仕方ないだろうに。
とりあえず、今日も学校を休もう。そして考えよう。
少なくとも当分学校には行けない。少なくとも二日は欲しい。
仮病を突き通すのは無理だろうが、学校で問題になるよりは全然いいし迷惑もかけない。
といっても迷惑はかけっぱなしなのだが。
さてと立ち上がり俺は着替えることにした。
とりあえず残りの二日で決めることはただ一つ。俺の心。
それが……彼女のためだから。






そして二日間の戦いです。
大きく動かしました展開です。まさかここで魅音が拒絶されるなんて誰が考えたのでしょうね(お前だろう
そして物語も架橋です。これからどうなっていくのか…見ごたえありです(自分で言うな
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コメント

感想

 その六 彼女 読みました。
拒絶の心の圭一さん、悲しみに沈み、更に深く深く沈む、魅音さん。
話は佳境になりますが、またまた、れなさん辺りが余計な事を吹き込んだり、しでかしたりしないか、不安だ。

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影法師さん
>沈みに沈み、これから上がりへと向かうでしょう…多分。
架橋になっていく話、ついに彼女が動き出しますッ!!!

トロイメライ魅ぃさん
>圭魅派にとってはこの展開は予想外であり辛いでしょう。
心は…流れに乗れるかが大きな課題になるでしょう。

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Author:キラ
中二病の同人大好きな変態。アニメよりゲーム派。
07th作品はうみねこよりもひぐらし。
いまだに圭魅が大好き主張は変わらず。
創作活動は別館で進行中。

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