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情尽し編 其の九 選択

2008–05–07 (Wed) 23:19
残すもあと少し。この物語の設定も少しずつ明かされる中、最後の選択が試されます。
最後はまだ書き途中ですが、とりあえずあげます。完成品になったら追記します(当分先ですがorz

5月19日…選択肢を追加。



眩しい日差しが俺の目の前から現れた。
オレンジ色に染まる山は見ると秋をイメ-ジさせるが気温が夏だと言い返してきた。
暑苦しいのはまだ変わらない。夏と言う暑さは何も変わらない。
変わったと言えば俺自身だろう。
少しずつ明るさが雛見沢を支配していくと言うのに、俺の心はまだ夜のままだった。



0時。ちょうど日が変わった時間帯だ。
目がさえてしまって寝付けずにいた俺は玄関の鍵を閉め、漆黒の闇に包まれた雛見沢を意味もなしに歩いてた。
何回も歩きなれた道も、こんなに暗い時間帯になれば別の道に見えてしまう。風景が少し違うだけで色々なものが色々と変わりに変わるのだと実感した。
歩く足音も俺だけだと思えば息をする声も俺だけだ。しかし、蝉の声だけがBGMとして流れていた。
リズムを作りながら鳴き続ける蝉の声はどこか切ない。みんみんと鳴く声はひぐらしとは違う。まったく別の感情を胸の中に作り上げていく。
もう一度言うがそれは切ない。そして悲しい。
たくさんの木に蝉はついている。なのにこれが数ヵ月後には命がシャボン玉のように消えてしまう。
それは…
「儚い夢のようだ」
陽炎が切なさの象徴なら蝉だって同じことだ。いやこの世の全ては儚い。
それは…俺の心も同じだ。
「ああ…なんて、孤独」
儚いゆえに孤独。死んだあとは一人きりになる死後の世界にそれは似ている。
だが、俺は生涯孤独、なのだろうか?
今更になって疑問を思い浮かべた。心が揺れている。
しかし…それはいい。今はただ、この氷を…静かな場所で溶かしていきたい。
空には黄色い満月の月。星たちの中に一つ目立つ月は見惚れてしまうほど綺麗で悲しかった。



「結局、ここに来ちまったか」
自然に言葉を零してしまうほど自分が単純だと呆れてしまった。こんなのだから部活で勝てないのだなぁと思いながら階段を眺めていた。
「………」
空気が凍ったように重い。いやこの先の空気は文字通り凍っている。
それが誰のせいなのかは、俺自身が一番わかっていた。
だから、ここで帰ろう。そう、思った。
「「「………………」」」
振り返った先には二人の少女が眉も動かずに俺を見ていた。
「―――――――」
驚きの声も出せず俺はその二人を交互に直視した。
静か過ぎて逆に不気味だが二人はいたって正常だ。しかも…真剣で睨むような目つきの表情を俺は知っている。
ああ、そうか。正常じゃないのは俺のほうか。
「何か用…だよな」
いちいち無駄口を叩くのも時間と労力の無駄だ。それにこんなことを言う必要なんてまったくもって意味がなかった。
「とりあえず、どこか座れる場所に行こうか」
そう言ったのだが座る場所はこの階段を上った先にある。そうなると俺はお手上げだった。
しかし、それに助け舟を出すように二人は階段に腰をかけた。俺も二人と同じように階段に腰をかけた。
夏の夜は昼間と違って下がる時には下がるせいだろう。ひんやりと夜の空気に冷やされた階段に座ると単純に寒いと感じた。
しかし二人は俺とは違い何も感じていないと言うように空を見上げた。それを見た俺は、二人を人形にたとえてしまった。
なんだか……雰囲気がおかしいな。
それを感じ取るのに少しだけ時間をかけてしまった気がしたが二人は気づかないのか関心がないのか何も言わなかった。
しかし、それを合図に一人の少女が問い掛けてきた。




午後3時。ちょうどおやつの時間帯に俺と詩音はある小さい商店街にいた。
詩音に連れられながら、景色が少しずつ古くなっていくのを見てなんだか新鮮な気持ちになった。
こんな光景、東京にいた頃にも見たことがない。
それのせいか少しだけ楽しい気分になっていくのを感じた。
「古いってものも新鮮ですよね」
「ん…?あ、ああ」
「これが数十年前に賑やかだったなんて考えると面白く感じませんか?」
「確かにな。歴史を感じる、って感じ」
圭ちゃんらしいですねと詩音は苦笑いをしながら詩音は話を続けた。
「そう言えば、さっきから行く場所を訊きませんね」
「…別に訊かなくてもいいよ。どうせわかることなんだし」
「あら。なんだかつまらないですね。圭ちゃんなら訊いてくれると思ったのに」
何がつまらないんだ、何が。
「ほらほら。呆れてないで行きますよ」
「あ、ああ……!!??」
詩音を追おうとした瞬間、不意打ちのように俺の手を握ってきた。
「し、詩音…!!!」
もちろん、俺も健全な男の子だ。いきなり手を握られて驚かないわけはない。
しかし詩音は何事もないと言うように普通に歩いていた。俺はそんな詩音の背中を見て、少しあこがれてしまった。
「……どうしたんですか?」
「詩音には、迷いがないな。正直、羨ましいよ」
自分でもおかしなことを言っているのは百も承知だ。だが迷いに迷い答えを出せない今の俺には、迷いなく真っ直ぐな詩音がとても羨ましかった。
「そんなことを羨ましがれても困りますよ。これは、私がちゃんと考えて出した答えなんですからそんなものに値しませんよ」
「いいや。俺には十分過ぎると思うぞ。答えを出してそれを実行しているのがその証拠だ」
答えを実行に移しているだけでも俺は憧れてしまう。それが出来ないゆえに出来る人物が羨ましい。
情けないが俺には実行力が完璧に欠けていた。数日前はもっていたかもしれないが、傷だらけになった心ではそれもままならないのだろう。いや、そんなのはただの言い訳でしかない、か。
十分わかっているが弱音しか吐けない。詩音はそんな俺に握った手の力を強めた。
「圭ちゃん、もしこの手がお姉だったら、どうしますか?」
「…………」
どう…するだろうか?
振りほどくのが今の俺にあっているのだろうか。
それともそのままにしておくか。
「…さぁ、な。だけど魅音でも変わらない」
「………」
「答えが見つかってないのに、そんな質問をされても困る」
「では、お姉が恋人になったら?」
仮定の話をするな。そう言おうと思ったが―――。
「握り返すさ。魅音も可愛い女の子だし恋人になったら大事にしていきたいからな」
さきにそんな答えを述べてしまった。



それから数分後。辿り付いたのは小さな映画館。
古臭さが少しあったがそれ以外は興宮で見かける映画館とほとんど同じだった。
こんな奥に大きな映画館があったなんて…。
驚きもあった。しかしもったいないとも思えた。
「詩音、なんでこんなに立派なのにこんな古臭い場所に?」
「なんでも、古かった店をリフォームして映画館にしたって聞いてます。まあ、まだオープン前ですから人がいないというのもありますが」
「ちょっと待て。オープン前じゃまだ見れねぇじゃねぇか」
しかしそんなことを言ったにも関わらず、詩音は開いていない映画館の門を開いた。
「って、開くのかよ!!!」
おかしな部分でツッコミを入れてしまった気がするが無視しよう。
「叔母さーん。いますか?」
詩音の声に叔母さんと言われた人がはいはいと門から顔を出した。
「詩音ちゃんだね。待ってたよ」
「いきなり連絡してすいません。それで…例のものは?」
「ええ。ついでにポップコーンを買う時間が少しあるから準備の間に買ってて頂戴」
まるでおばあちゃんをイメージさせる言葉遣いだが外見はまったく叔母さんじゃない。
詩音、あの人の歳間違えてないか。
あまりに若く見えるのでそう言いそうになったが寸前で飲み込み心の中で呟いた。
「それじゃあ入って。それと、そこの坊やも」
「あ、はい」
優しくて見惚れてしまいそうな笑みで叔母さん(ってお姉の間違いだろう)は俺を館内に誘った。もちろん詩音に連れられてきたのだし目的地がここなのだから言われることもないが、叔母さんの言葉がどうしょうもなく心を軽くしてくれた。
「圭ちゃん。早く早く」
それとは裏腹に詩音は子供のような無邪気さで俺を誘った。
まったく、誘ったのはお前だろうに。
呆れた口を叩くのとは間逆に詩音を見て少しだけ楽しく思えた。だって、こんなにはしゃいでいる詩音を見るのなんて、相当レアだし久々に感じた日常だったのだから。


映画が始まったのはそれから10分後だった。
部屋が暗くなり前置きなしにすぐに映画が始まったので買ったポップコーンを食べる暇はなかった。
ちなみに隣には誰も座っていない。俺の席はど真ん中で一番見やすい場所だ。そして詩音は叔母さんと一緒に一番後ろの席にいた。だが意識などはまったくしなかった。むしろ内容からして後ろでよかったと思えた。
映画の内容は……15分ぐらいして俺に見せたかったことに納得がいった。
この映画のジャンルは切ない恋愛物語、と言ったところだった。
主人公は男の子と女の子だ。二人のシーンごとに男の子から見たシーンと女の子から見たシーンがあり両者の心境が痛いほど理解できた。
そして、ここで一番注目するところは、告白したくても二人はある事情で告白して付き合えないということだ。
男の子の方は、昔少年院に入ったことから女の子に告白して拒絶させられることを恐れた。
女の子の方は、家が大きな会社を持つ家系なので許婚がいたことにより男の子に告白できなかった。
だからこそ二人は友達だけで居つづけた。
―――なんだか、悲しいな。
それは始まって1時間未満で思った感想だった。俺から見てみると、二人とも何を悩んでいるんだと罵倒したいほどだった。
そして終盤にさしかかるにつれて二人の関係は余計に悪くなった。二人はより一層想うにつれ苛立ちが生じ素直になれなくなっていった。
―――それはまるで俺と魅音のように…。
それから男の子偶然聞いた話から女の子が自分を好きだと知ってしまった。それが…引き金だった。
そして、最後の結末は……男の子の失踪だった。
男の子は女の子に幸せになってもらいたいと思い自分は手を引くことにした。しかしそれを言っても女の子はきっと諦めてくれないだろうと思い男の子は一人でどこかへ去っていった。
それを手紙で知った女の子は嘆いた。それはあまりにも悲しく、あまりに残酷な現実だったのだろう。そして、最後の最後に…男の子が自殺したと女の子が知ることになった。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-------------ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
上映時間90分が終わり周りが明るくなった。
しかし、それはあまりに酷い現実であまりに悲し過ぎる結末だった。
そして自然に涙を流した。
―――――ああ。そうだよ。もう…隠さないよ。

―――――俺は魅音が好きだよ。




さっき、レナには告白されたが俺は素直にそれに頭を下げた。
しかし、レナは強かった。むしろ素直に言った俺に感謝の言葉をかけた。それはきっとレナの中で一つの結末として綺麗な幕を下ろされた瞬間だったのだろう。
泣いてもいいんだぜ、とレナに言ったがレナはそれに苦笑いして魅ぃちゃんにかける言葉だよと俺に返してきた。そこで、レナはどれだけ人のことを考えどれだけ強かったのを実感した。
しかしレナも女の子だ。目尻には少しながら涙が溜まっていた。だけど俺はそれを見てみるふりをした。
もしここでそれを言ってしまってはレナの優しさに泥を塗る形になってしまう。だから俺は下唇を噛み言葉を飲み込み、消した。
「これが……レナへの答えだ」
そう答えると二人は納得したように頷いた。
そして、次の質問をしてきた。
―――これからどうしたい…?
それは一番訊かれたくない質問だった。
これからどうするかは俺にはわからないしまだ気持ちの整理がついていなかった。だからといってこのままにしておくわけにはいかない。
それに…ここでわからないなどとはもう言えない気がした。もし言ってしまったら自分はもう言い訳しか続けない気がした。
だから、はっきりとこの場でどうするかを決めようと思った。それがけじめと言うものでもあるし時間的にそうする時期だと思った。
二人はこちらの考えを読んだようにクスリと笑い、それがいいと言葉に出さず視線で言ってきた。それに俺は視線で大丈夫だといった。
そして…瞼を閉じ一人だけの世界で思考を展開させた。
まずは俺が魅音にどう接するか、からだ。
約24時間前のことを思い出しても、ああ言ってしまった以上すぐにごめんなさい好きでしたなどと言えるはずもない。そんなことは言語道断だ。ならどうやって魅音と付き合えばいいかと考えたら考えうるのは一つだけ。
それはいつも通りに。親友として、ただの男の子と女の子として接するのが一番いいだろう。心境を考えてもそれが有効だと俺は思った。
もしそれで魅音が元に戻ったらそれはそれでいい。むしろそれが一番良い結果だろう。
そしてその後、この好意をどうするかは…なってから考えよう。元々すぐに伝える気なんてないし、けじめをちゃんとつけないといけない。
それに俺は傷つけたあいつと付き合う自信なんて無尽もない。情けないがそれが事実だ。しかしそれはあくまで今だけだ。時間が過ぎていくにつれてそんな考えは変わっていくだろうけど今は自信はない。
でもそれがわかるだけでも十分。むしろ元通りになってからのことなど蛇足だが、それほどまで自分の中で余裕と冷静さがあったと自身で理解できた。
―――ああ。もう十分だ。
そう思い瞼を開き二人の姿を見た。
二人は納得したように微笑みその場を立った。そして、何も言わずに二人は夜の闇に消えていった。




それから1分して、自分がその場に佇み階段を見上げていたことに気づいた。
そして、脳で、身体で、全てでこの先にいる人物のことを予測した。いや、予測よりもその人物だと確信できていた。
わかってるさ。この階段を上がったら、当たって砕けろだ。
だけど、このまま上がらずに帰ったらまだ時間が生まれる。
しかし両方とも選んでも道はいばらでしかない。でも選ばなくてはいけない。
このまま登って今の状態で全てのけじめをつけるか。
逃げて時間を稼ぎ全てに決着をつけてから出会うか。
選択肢は二つに一つだ。
―――俺は…。

階段を登る

まだ会えない



ここまで来るとネタ切れに陥りますね。はっきりに言いますと、長くさせるのに苦労する!!!
しかし残りもあと少し。これを乗り越えて長い間続いていた話を完結させたいですね^^:
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感想

情尽し編 其の九 選択、読みました。
己の中の見えざるたる答えに許に選択をした圭一さん。
圭一さんの選択に悲しみを受けながら、彼の選択を尊重したれなさん。
選択する事に躊躇いをしながら、大事な一歩を踏み出す魅音さん。
複数の選択の先にある未来は圭一さんの選択した未来の先に有るのかな?

トロイメライ魅ぃさん
>伝え方は悩んでますorz
あっぷされればわかりますので、かなり気長に待って下さい(泣)

影法師さん
>たくさんのかけらの中から圭一は決断します。圭一は…どのような結末を迎える道を歩むのか?それがどのような結果になるかは次で明らかになります。

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中二病の同人大好きな変態。アニメよりゲーム派。
07th作品はうみねこよりもひぐらし。
いまだに圭魅が大好き主張は変わらず。
創作活動は別館で進行中。

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