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古手の夫婦

2008–10–01 (Wed) 16:07
圭一さんの「陸羽」(18禁) のリクエスト。
なのですが!!!少し暴走して前置きが長くなったので、全年齢バージョンでまずはアップ。
陸羽の話はかなりレアなのでこれでいいのか不安ですorz

注)この話には『言祝し編』のネタばれが含まれております。



古手 陸。それは私の夫の名前であり私が唯一愛する男の名前だ。
彼は不思議な人間だ。
一緒にいるだけで胸が熱くなってくる。それに苦しくなってしまう。
私は彼が好きだ。もちろん彼も私のことが好きだ。しかも時間を重ねれば重ねるごとにさらに好きになってしまう。
だからこそその想いが強ければ強いほど余計に大きくなっていく。
近くにいる喜びと離れてしまう恐怖。初めて実感する感情の波に私は戸惑い恐れてしまう。
今までこんなことになるなんて思わなかった。こんな気持ちになれるなんて知らなかった。
これが……愛、なのか。
誰もそれには答えてくれない。なぜなら、愛なんて説明できない存在だから。



陸との幸せな生活を続けて十一ヶ月がたったある日の夜。
私は今まで見たことのない悪夢を見た。
『真っ暗な闇の中、私は目を覚ました。起きると近くにいたはずの彼はいなくなっていた。
最初はただのかくれんぼだと思っていた。しかし時が過ぎていくとかくれんぼではないことに気づかされた。
私は陸を探して神社を飛び出した。村と森、鬼ヶ淵にはそれだけあった。すぐさま村で陸の事を探すがいるわけはない。
そして、鬼ヶ淵全体と言ってもいいほど大きな森の中を走り回った。
陸!陸!陸!陸ッ!
ただ彼を見つけ出したかった。それだけのために私は夜が明けても走り続け陸を探した。
しかし、彼は見つからない。それどころか自分のことも見えてはいなかった。
結局、彼は行方不明になった。そして…彼のいない生活を始めていく。
それは真っ暗で最悪の日々。鬼を退治するよりももっと嫌なことであった。
神社の外を見ても彼はいない。あるのは落ち葉だけ。
風呂をあがってもあるのはさっきまで着ていた服。巫女服なんてものと変えられていない。
神社の中にいても静寂だけが支配していた。彼の声は聞こえない。
空っぽ。心に穴が開いた気分だった。
そして、毎晩泣いた』
悪夢に近い夢。まるで現実で起こりそうで思い出すだけで苦しくなる。
そして、死よりも怖い。



その晩は綺麗な満月だった。
悪夢を見てから数日が経ったが日を重ねるごとにあのときに感じた感情がさらに大きくなっていく。
そのせいで陸や桜花に無駄な心配をさせてしまう自分が情けなく感じてしまう。
そんな自分に私は「ははは」と自嘲してしまう。
本当に情けない話だ。これで鬼たちに恐れられるような存在なのだからさらに情けないと思える。
でも情けないと思うと同時に陸のことを強く思ってしまう。
無意識に胸を押さえる。
「…………………陸」
小さな声で彼を呼んでみた。
やっぱりだ。胸が痛い一方だ。
気を紛らわすために私は満月の見える本殿の石段に向かう。
古手神社は夜に人通りはほとんどなく静かなものだ。
一人になりたいときや考え事があるときにはこの石段で座るのが私の習慣だった。だから今日もここで一人になりたかった。
今の季節は冬。あと一ヶ月すると幸せな生活から一年が経つ。そして陸の告白から一年だ。
またあのような桜を二人で見る春がすぐ近くに来ている。しかし今度は二人ではなく桜花を入れた3人で、だ。
先のことだが今から少し楽しみね。
微笑むような笑みが自然とこぼれる。少しだけ心が和らいだ。



外はひらひらと雪が舞っていた。
雪が手のひらで溶けていくさまをたまたま見た。その光景はゆっくり時間が流れているように感じる幻想的なものであった。
しかし雪が舞う冬の季節だ。石段には当然のように雪が積もっていた。
冬になってからはここに来ていないせいか、石段に積もる雪の光景は新鮮だった。
「はぁ~…」と自然にため息が出てしまう。
少し考えれば座れないことはわかっていただろうに。しかも傘まで持っているのだから気づくはずだ。
だがそれすらわからないほどこの感情に戸惑っていた。
パリッ…。
それに気づくと私の中の何かが壊れた。
頬に伝わる暖かい感触。液のようなものがあごへと伝わり落ちた。
「………涙」
指で触れてみて涙だとわかった。
しかし不思議だった。あったのは胸の痛みだけだ。
感情が爆発するようなことはなくただ呆然と雪の舞う光景だけを見ていた。
涙は心が動いたときに流すもののはずだ。なのに私にあったのは胸の痛みだけだ。
「………羽入」
すると背後から聞いたことのある声が聞こえた。
私は驚いたりはしなかった。私を「羽入」と呼びこんな寒い中を追ってきて心配するような人物は私の記憶上にはただ一人しかいなかった。
「陸…どうしたのですか?桜花は?」
「桜花はさきほど寝ました」
私は「そう」と陸にいい伝わっている涙を見せないように少しだけ離れた。
「では、なぜここにいるのですか?」
「私がここに来たのは羽入が心配だからです」
まっすぐに私だけに向けた声。一瞬、私は振り向いてしまいそうになる。
しかし胸を押さえ寸前で背後を見せ続けた。
「私は大丈夫です。心配することは何もないはずです」
いつも通りに、と私は普段どおりに答える。しかし陸は一歩だけ私に近づく。
「嘘です」
「何故…そう思うのですか?」
陸の即答に私も同じように即質問をした。それとほぼ同時に陸がまた一歩私に近づく。
「羽入は苦しんでいる。泣いてだっています」
陸は断言している。とても力強くてどこまでもまっすぐな刃のような言葉。
「羽入自身はどうおもっているかわかりませんが私は羽入の夫で羽入の大切な人物だと思っています。自信を持っていませんがそう思うからには羽入、あなたのことは私が見守り助けていく義務があります。それに私自身があなたを助けたい」
「?……つまり、あなたは?」
「だから私にはあなたの変化が誰よりも早くわかります。数日前から羽入はどこか悲しそうに私を見てました。一秒にも満たない、瞬きほどの時間ですが一瞬だけの出来事ですが。それに、羽入に元気がありませんでした」
私は驚いた。しかしそれよりも陸がそれほどまでに私を見ていたことが嬉しかった。
「そしてあなたは泣いてますね。悲しそうな背中を見てればわかってしまいます」
そう言って、陸は後ろから私を優しく抱きしめた。
「陸…」
「大丈夫です。ここには私がいますから」
その言葉に救われた。
「陸…陸……りくっ!」
私は愛しい手を握り大切に包み込む。
暖かい。それに愛しくて離したくない。
「ぅっ…く……っ!」
私はその手を握ったまま子供のように泣いた。陸は泣いている私をさらに強く抱きしめた。






「――――――――そんな夢の見たのですか」
それから居間に戻り陸に夢のことを包み隠さず話した。陸はその話を真剣に聞いて真剣に答えてくれた。
「私にもその気持ちはわかります。私は羽入のような夢は見ませんがそう思うことはよくありますから」
その言葉の意味はすぐに理解することが出来た。
私は『同族狩り』をする身。もしこの近くで『鬼』のうわさが出たら私はこの場を去らなくてはいけない。それはいつ帰るかわからない。下手をすれば永遠の別れということだってある。
その点、陸はそんなことがないようにと願う毎日を過ごしていたのだろう。いや、今この瞬間もそれを願いに願い続けている。
陸の不安は私のちっぽけな不安と比べ物にならない不安だ。そこを考えると陸はとても強いな、と思ってしまう。
「陸、あなたならこの気持ちをどのように消し去りますか?」
私が陸に一番聞きたかったことをここで私は聞いてみた。
陸ならば私が求めている答えを導き出してくれる。そう、思った。
「う~~~ん。そうですね~~」
陸は悩む仕草を見せて、満面の笑みでこう答えた。
「わかりません」
「なっ??!!」
その答えに私は呆気をとられた。しかし陸は表情を崩さずにもう一度言った。
「私にはわかりません」
「そんなはずはない!!!そんな能天気な発言、ありえません!!!」
「と言われましてもわからないものはわかりません」
その笑み、大切な空気なんだが思いっきり殴ってやりたい。空気とか関係なく殴ってやりたい。
「私は気にすることをやめたので羽入の悩みを解決する方法は知りません。そういうことでわかり――――がはっ?!」
殴ってやった。とりあえず、あの満面の笑みを消えてすっきりした!
「う~ん。不意打ちはまだダメなようですね。でも今のは羽入が卑怯なだけか…」
「卑怯ではありません!!!というよりも真面目に考えないあなたが悪い!!!!」
そして怒ってやった。とりあえずだが言いたいことをはっきりと言ってやりたかったのですっきりはした。
「まったく。あなたのそう言ったところは変わりませんね。」
「あはは。これでも羽入のことを考えたつもりなんですが」
「……ええ。わかってます」
小さな声で陸に言う。
陸がそう思っているのは私も十分わかっている。長い付き合い、というのもあるが陸自身がまっすぐに言ってくれるから自然とわかってしまう。そんな部分が私は、好きだ。
「でも、それは羽入自身が決めるべきことだと私は思います」
そして、大切なところでは力強く想いのこもった言葉を言ってくれる。
今の言葉はそれに分類されるものだと気づき私は姿勢をただし陸の言葉を待った。
「……これは私の考えなのですが、そういった悩みには人それぞれの好みや考え方、性格によって違ってくると思います。人にそのことを尋ねるのは確かに正論です。私もあなたにそうした方がいいと思っています」
「…………………」
「ですが私はそうしません。だって私がそれを教えても意味がないからです。だって…私の考えは……あなたが、必要…ですから…」
陸の言いたいことはわかった。そして、それに気づいた私は顔が真っ赤になっているのがわかった。
つまり、彼が言いたいことは―――。
「私も……陸と同じですね」
『私と一緒にいるだけでいい』
……陸がそれを言わなかったわけ。それは簡単なことなのだが恥ずかしいので言わないでおこう。
「あなたは…馬鹿ですね」
「はい」
「でも、私も馬鹿ですね」
いつも通り、彼を馬鹿だと言う。しかしやっぱり私も馬鹿だ。
最初、真剣だった話も終わってみるといつもの会話になっていた。そんな会話がとても嬉しかった。



――――――――――――



それから私たちはいろいろとあり同じ部屋で眠ることとなった。
「そういえば羽入と同じ部屋で寝ることになるのは初めてですね」
陸にそういわれ自分の記憶を引き出してみると、陸の言ったことがあっていると気づく。
すると自然と笑みがこぼれた。
「陸は女と眠るのは恥ずかしいですか?」
「あ、いえ。そうは言ってませんが」
そうは言っているが陸の心臓が高鳴るに高鳴って仕方ないだろう。そんな陸の心境を想像してと少し笑ってしまった。
「羽入、私をからかってませんか?」
「いえ。からかってなんていません」
嘘。でもそんなばれる嘘を吐く自分が少し可愛く思えた。
すると陸はいきなり静かになった。
「?………陸?」
眠ってしまったのかと思ったが陸の次の行動でそんなものは吹き飛んでしまった。
「それッ」
あろうことか、陸は私のいる布団にいきなり潜り込んできたのだ。私はそれに反応できず「なっ」と驚くしかなかった。
「…仕返しです」
そういって陸は悪戯好きな子供を思い浮かべるような笑みを零した。それに私は顔を背けて抵抗した。
「羽入?……どうしたのですか?」
「あなたには……状況を読むということがないのですかッ?!」
ついつい怒ってしまう。しかしただの照れ隠しなのに少し言い過ぎた気が…。
「いいではないですか。私とあなたの仲のですし」
「~~~~~~」
しなかった。というよりも私が照れていることを楽しんでいた。
さらには満面の笑みで照れるようなことを言う。そのときの陸を…私は直視できなかった。
「それに…もう契りを結んでしまいましたし、これ以上何に照れろと?」
「~~~~~~~~~~~~~~~~~やはりあなたは馬鹿ですッ!!!」
しかし今の発言にはさすがの私も怒鳴ってしまった。
「ぐはっ…あごっ…ぐへぇ!!!…は、羽入…すいません。すいませんって!!!」
「うるさい!うるさい!!うるさーーい!!!」
そして、ありったけの拳を陸に浴びせ続けたのであった。




お待たせして本当に申し訳ありませんm(_ _)m そして、もう少しだけまってください!!!気合を入れますので!!!!


陸と羽入のコンビは意外に好きです。話を読んでもかなりお似合いのコンビです。今度は個人的に書いてみたいですね。
ただ…こんな感じでいいのかな?例がいないのでものすごく不安です^^:
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中二病の同人大好きな変態。アニメよりゲーム派。
07th作品はうみねこよりもひぐらし。
いまだに圭魅が大好き主張は変わらず。
創作活動は別館で進行中。

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